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ザ・ムーン(2009年・イギリス)

人類が月へ行くこと、そして地球に生きる奇跡を初体験する
感動の一大エンターテインメント・ドキュメンタリー!

画像:ザ・ムーン(2009年・イギリス)

 いったいに人間には多くの夢がある。宇宙に飛び立つ、あるいは月に着陸することなども、夢のひとつかも知れない。 
 1969年7月、アポロ11号で、人類が初めて月に着陸する。ちょうど40年前になる。このアポロ11号の偉業以来、月に着陸した宇宙飛行士は12名を数える。

 映画「ザ・ムーン」(アスミック・エース配給)は、アポロ計画に参加、月に向かった宇宙飛行士たちへのインタビューと、NASA(航空宇宙局)が撮影した膨大なアポロ計画関係の映像で構成されたドキュメントである。
 宇宙の起源は? 宇宙の果ては? 誰しもが持つ、素朴な疑問である。月まで38万キロあまり。宇宙の広がりからみれば、至近の距離である。にもかかわらず、地球の衛星である月ですら、人類の到達は困難であった。 
 1961年4月、旧ソ連が世界初、ユーリ・ガガーリンの軌道飛行を成功させる。アメリカも負けじと5月に、アラン・シェパードの弾道飛行に成功する。
時の大統領ケネディは、議会で演説する。「1960年代が終わるまでに、人類を月に送り、無事帰還させる」と。
画像:ザ・ムーン(2009年・イギリス) 以来、アメリカはアポロ計画を進めることになる。パイロットたちがアメリカ中から集められる。訓練が重ねられ、ライトスタッフ(正しい資質)を備えた宇宙飛行士が選ばれていく。
 1963年、ケネディは暗殺されるが、アポロ計画は継続される。アポロ1号は、地上で訓練中に火災事故で炎上、3名の犠牲者が出る。その後、何度かの月面調査を経て、1969年7月、アポロ11号は、世界中が注目するなか、人類初の月着陸を試みる。
 はじめて月に降り立ったのは、ニール・アームストロング船長である。アームストロングは言う。「一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」と。

 アポロ11号以後、13号を除いた17号まで、計5回の月面着陸が行われた。1970年に打ち上げられたアポロ13号は、32万キロを飛行、月へあと6万キロのところで、燃料酸素のタンクが爆発、月への着陸を中止せざるを得なくなる。地球に戻るには、月への着陸船を利用するしかない。しかも残り少ない燃料である。ではどうしたか? 月の引力を利用するしかない。地球に戻るために、地球から遠ざかるのである。映画「アポロ13」や、立花隆の「宇宙からの帰還」では、この事故にも関わらず、3名の飛行士がなんとか無事、地球に帰還するまでが劇的に描かれている。

 インタビューに答える宇宙飛行士たち10人の言葉が、それぞれ滋味深い。
 月に降り立ったある宇宙飛行士は、親指の裏に地球が隠れることを指摘して、こう言う。「我々は何と小さな存在だろう。だが何と幸せだろう。この肉体をもって生まれてきて。この美しい地球で人生を謳歌することができて」と。
 いま地球は、広がり続ける環境問題を始め、絶えない民族紛争や世界的な経済危機など、さまざまな問題を抱えている。38万キロの彼方、月から見た地球を、宇宙飛行士たちが語る。限りなく広がり続ける宇宙の、本当に小さく弱い存在だけれど、美しい星である、と。

 地球に戻った宇宙飛行士は、ショッピングセンターでアイスを食べながら、人々を見て、地球に生まれてよかった、と思う。そして言う。
 「なぜみんな、不平を言うのか。エデンの園にいるのに」。

●2009年1月16日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー