全公立小中学校に、電子黒板。校内LAN100%へ

100年に一度の補正予算?

 全てのテレビを地デジ対応。校務用コンピュータを教員1人1台。全ての普通教室に校内LAN
 これらのいわゆるICT環境といわれ、長らく命題であった案件の整備が一気に加速することになった。しかも、今年度中にどれも100%実現へ向けて。麻生内閣の目玉、大型補正予算は教育現場へも大きく影響することになった。

 ICT環境整備での事業費総額は4081億円。これを学校ICT環境整備事業補助金等の国庫補助として半分、地域活性化・経済危機対策臨時交付金として半分を負担する割合である。
 特に、臨時交付金は、今回のための特別な措置であり、従来の地方交付金ではなく、あくまでも今回のICT環境整備として各自治体・教育委員会が自由に使えるものだ。国庫補助とこの交付金を利用して、実物投影機やプロジェクタ、ソフトウエア等の周辺機器の整備のために申請をすすめていくことになる。
 そこで教育委員会は、各自治体の財政当局に早期に働きかけ、財源を確保する手続きに入らなければいけない。文科省は、4月に事務連絡を発出し、この5月中に全教育委員会へ説明を進めている。政府も、与野党も含め地デジ化とともに、ICT環境の整備には前向きな姿勢である。たとえ政権交代があったとしても、方向性は変わらないだろう。
 以前本欄で取り上げた「ネットワーク配信型コンテンツ推進事業」から2年が経過している。(Vol.001 4月号2007

地上波デジタル放送に対応する整備

電子黒板と「ようぐる」を活用した授業。文科省「エル・ネット・システム」Webサイトにて動画公開中 公立の幼・小・中・高・中等・特別支援において現在教育活用されているすべてのテレビをデジタル放送対応へ買換える。また壁掛けか専用の台を付けたものとして、50インチ以上が望ましいとしている。このうち、電子黒板については各校1台(原則)を設置する。文科省は、テレビ自体を今後電子黒板として付加できるものを前提としているので、PCや実物投影機と接続できることで、従来のテレビ放送だけでなく、モニターとしてやインターネット利用など多くの活用が出来る電子モニターが、各学校の各教室に生まれ変わることになる。
 またこのテレビを、文科省は電気黒板機能を備えた一体型のものが望ましいとしている。
 これは中々の衝撃ではないだろうか。ハードがこのように整備されれば、ソフトもデジタルコンテンツが求められていく。そもそも、このデジタル対応テレビの整備は「教科書がデジタル化されたときにも役立つ」と発言していた。

校内LAN整備率

電子黒板と「ようぐる」を活用した授業のイメージイラスト 「うちの学校はまだまだ校内LANなど…」は、もうじき聞こえなくなることだろう。隣国韓国を意識してか、今年度で一気に整備率100%を実現させてしまう。この整備では、「学校情報通信技術環境整備事業補助金」や「安全・安心な学校づくり交付金」などからも対象として工事に着手できる。近年、学習用教育用ソフトウエア等は、校内フリーライセンスの扱いが増えてきた。ここへきて一気に利用しやすくなることを期待したい。

 このたびの補正予算で整備事業としている内容の中でも、臨時交付金で措置されるものは、特に各自治体が早期に財源確保に動かなければならない。この一年で、どれほど学校のICT環境が変わっていくのだろうか。いよいよである。

主な内容

<整備目標> <20年3月末現在 21年度補正での実現>
全てのテレビをデジタル化 約1% 100%
校務用コンピュータを教員1人1台 約58% 100%
教育用コンピュータを児童生徒3.6人に1台  7.0人 3.6人
全ての普通教室に校内LANを整備 63% 100%