「サージェント・ペッパー ぼくの友だち」

ドイツからやってきた心がほんわかする、
少年と犬との友情ものがたり

 なんとも微笑ましいドイツの映画が「サージェント・ペッパー ぼくの友だち」(ハピネット・ピクチャーズ/ミラクル・ヴォイス配給)である。
  監督は「マーサの幸せレシピ」で大ブレイクした女流監督のサンドラ・ネットルベック。
 犬のサージェント・ペッパーは、いま、飼い主である伯爵の死にたちあっている。たくさんの遺産は、いろんな慈善団体に贈られるが、屋敷をはじめほとんどの遺産は、なんとペッパーが相続することに。伯爵の娘、息子にはビタ一文、残されない。姉弟の二人は語らって、ペッパーを捕らえようとするが、ペッパーは逃げていってしまう。
 のんびりとした愉快な家族がジンガー家。ママはオーケストラの指揮者、パパは人工降雪機などを作る、あやしげな発明家。ママはそんなパパが大好きである。6歳になるフェリックス、お姉さんが一人の四人暮らし。フェリックスはトラのぬいぐるみが大好きで、学校でも家でも、トラのぬいぐるみを着ているヘンな男の子で、人間にはなりたくないと真剣に思っている。ママは心配するが、パパは発明家らしく「想像力が豊かなんだ」と、気にしない。
 そんな一家に、ペッパーが逃げてくる。心やさしいフェリックスは、ペッパーを暖かく匿う。なんとこのペッパーは、心優しく、想像力のサージェント・ペッパーある子供と会話ができるのだ。
  ペッパーを見つけ出し、殺してしまえば遺産を手にすることができる極悪の姉弟は、ついにペッパーの居所をつきとめる・・・。
 フェリックスを演じるニール・レナート・トーマス君は7歳。サーカスの学校に通っている。達者である。ペッパーはボーダーコリーの血を引く雑種である。頭がよく、名演技のかずかずに驚く。
 笑って笑って、ちょっぴり涙するメルヘンである。だが、メッセージはしっかりと伝わる。大きくなって、なにか忘れてしまった人生の大事なこと。フェリックスとペッパーの会話から、わたしたちが忘れたことを、きっと思い出すだろう。

5月20日より、渋谷アミューズCQN他全国順次ロードショー!

(C) Constantin Film