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ICT・EducationNo.7 > p10〜13

教育実践例
沼津商業高校における情報処理教育について
静岡県立沼津商業高校 池谷 淳一
ikeya@nch.ed.jp
1.本校の概要

 本校は静岡県東部,富士山と伊豆半島の間に位置しており,周囲は,愛鷹山と箱根と駿河湾に囲まれ,自然に恵まれた環境にある。

  現在,全日制には会計科,情報処理科,国際経済科の3学科(約750名),定時制には商業科(40名)を設置している。
また,昨年,創立100周年を迎えた伝統ある商業高校で,2万人を越える卒業生を輩出している。

沼津商業高校
▲沼津商業高校

2.本校の情報処理実習環境
(1)校内LAN
 
 本校は1996年より5年間にわたり各実習室の機種更新を行ってきた。当初より将来を見越したLANを敷設しており,イーサネット2本(10BASE−5)で次の12室のハードウェアをサーバに接続している。

情報基礎実習室 −情報処理棟1階
プログラミング実習室 −情報処理棟2階
情報処理準備室 −情報処理棟2階
情報応用実習室 −情報処理棟3階
CAI教室 −3棟1階
総合実践室 −3棟2階
進学指導室 −3棟2階
文書処理実習室 −3棟3階
全日制職員室 −1棟1階
事務室 −1棟1階
進路室 −1棟2階
職員休養室 −1棟2階

 また,今後,校長室,図書室,定時制職員室,LL教室,印刷室,保健室,応接室なども廊下天井裏にあるケーブルから各室にLANを敷設できるようになっている。

 本校のネットワーク接続ハード台数は,次のページのようになっている。

 以上,校内には236台(ローカルプリンタを含めると286台)のパソコンとプリンタが2台の校内サーバと2台のインターネットサーバに接続されている。

 全日制職員室では,無線LANでパソコン4台が利用できる環境になっている。

 また,各実習室の先生機にはカメラが設置されており,テレビ会議ができるようになっている。またNTサーバにあるリフレクタを利用すれば全室同時に会議ができる。

 各実習室の先生機はネットワーク内の校内全ての生徒機の画面を参照しリモート制御できるようになっている。

 各実習室の生徒の実習机はディスプレイを半埋め込み式にし生徒と教師の視線が合うようになっている。 ※注1

実習室のようす

実習室のようす

実習室のようす
▲実習室のようす

室名 PC プリンタ
情報基礎実習室 42
プログラミング実習室  
情報処理準備室
情報応用実習室 43 (23)
CAI教室 21 (23)
総合実践室 45
進学指導室 (1)
文書処理実習室 43
全日制職員室 20
事務室 (2)
進路室 (1)
職員休養室(配線のみ)    
合計 221 15

▲ネットワーク接続ハード台数
※( )内のプリンタはローカル接続

(2)サーバ
 
 本校のサーバは情報処理準備室に設定されており,次のような構成になっている。

○校内用サーバ
(Novell Netware)2台
Hakone(箱根)
情報処理科,電算機部
定時制,学校開放講座
Suruga(駿河)
国際経済科,会計科,教職員
ワープロ部
※以上のように生徒と教職員のデータがサーバに混在しておりセキュリティには細心の注意が必要である。

○ インターネットサーバ1
(UNIX Solaris)
www ftp 
telnet mail
news proxy

○ インターネットサーバ2
(WindowsNT)
www(生徒作品)
Cu-Seemeリフレクタ
LotusNotes proxy

  両サーバともキャッシュとしても利用しており,ネットサーフィンではキャッシュになければ外部に出て行くように設定されている。(WindowsNTは16GBの容量を持たせている。)

 文書データベースサーバである,NotesサーバをNTマシンに設置している。

 webサーバを2台に分けているのは毎年,情報処理科の3年生が課題研究の授業でプレゼンテーションソフトやHTMLで作成した作品をホームページに掲載するための専用領域として利用するためである。

 本校のホームページは,生徒作品,学校要覧,中学生向けパンフレット,校内誌など現在900ページである(電算機部が更新担当)。

 以上,ネットワークを管理することはかなりの負担になるが,オーダーメイドのシステムを維持管理するためにはメンテナンスを業者任せにできず教職員が担当せざるをえない。

 また,生徒と教職員のデータがサーバに混在し,インターネットで外部と常時に接続された環境では,セキュリティには細心の注意をする必要があると思われる。
3.本校のインターネット環境
 本校は95年4月より64kbpsの回線接続をしていた。しかし,インターネットを利用する授業が増えるに従い,97年に専用線接続とした。その後,98年に128kbpsの専用線接続に変更した。現在は,1.5Mbps(一部128kbps)で接続している。
その他に,本校には2本の64kbpsの回線が入っており,それぞれ静岡県学校間情報ネットワーク(S-NET)と民間のプロバイダーに接続されている。

 ドメイン名は当初,numasho.sunto-shimizu.shizuoka.jpという地域ドメイン名であったが,2001年度を完成年度とした全国の小中高等学校にインターネットを導入する文部省のプロジェクトに対応して,JPNICが新たにedドメインを設置したのに伴い99年4月より次のドメイン名を取得した。

nch.ed.jp

 また,所有するIPアドレスは当初,クラスCを5本取得していたが,現在は,クラスCを4本取得している。
ネットワークの管理組織は,ネットワーク管理委員会(校務分掌:インターネット及び校内ネットワークの理論的な維持管理)とネットワーク管理係(商業科:実質的なメンテナンス)に分かれている。

LAN伝送路図
▲LAN伝送路図
4.インターネットの活用状況

 校内にUNIXサーバを設定しているため,生徒,教職員全員にメールアカウント(約990名分)を発行している。生徒は各自のメールアカウントでメールを利用できる環境にある。

 本校では,アカウントにはパスワードを設定していない。事前にメールソフトの利用法やネットワークエチケット,セキュリティなどについて十分な指導をして利用させているが,生徒内規にメールの不正使用の項を謳っておくこともそろそろ必要と考えている。

(1)情報の収集・発信から交流へ

  野村証券のバーチャル株式投資(www.nomura.co.jp),各団体主催スクールページコンテストへの参加,生徒各自のホームページの作成などを行っている。ホームページの作成に当たっては,JAVA,アニメーションGIF,DHTMLなどの技術的な指導,サーチエンジンへの登録,CGIの紹介などを行っている。

  また,頻繁な利用が多い情報処理科の課題研究ではメールを利用する場合,予め10問程度のクイズを実施しネチケットを確認の上利用させている。

  情報の受信については,ポータルサイトを利用してのBooleanでのフリーワード検索,プレゼンテーションソフト,表計算ソフト,ワープロソフトを利用して収集,加工,発表(校内発表及びホームページへのアップロード)などを行っている。また,この一連の手順の中で著作権についても触れるようにしている。

 今後ますますインターネットが生活に浸透し社会が情報化する中で,情報の受信及び発信手段として利用するのみならず双方向のツール(=コミュニティの場)として発展させることが大切であると思われる。具体的にはホームページを利用した交流,アンケートの実施,電子メールやテレビ会議システムでの意見交換などを考えている。

(2)インターネットの利用上の課題

  学校教育でインターネットを取り入れた授業をする場合,有害情報へのアクセスやメールの悪用などが考えられる。

  本校が生徒のアカウントにパスワードを設定しないのは,パスワードでプライバシーを守らせるよりも,むしろ有害情報への自立的態度,ネットワークモラルの育成,ネットワークエチケットや各種権利の理解などの徹底を図り,生徒一人一人に「生徒といえどもインターネット上では一人の人格としてみなされる」ことの認識を持たせることに重点を置いているからである。

 インターネット自体の課題としては,セキュリティの保証がない,改ざんや盗聴が行われる危険性がある,トラフィック管理がない,電子メールが相手に届いているか確認できない,公序良俗の問題,データ自体の信憑性に問題があるなどが考えられる。以上のように多くの学校でインターネットを利用する場合解決しなければならない問題があると思われる。特に高校でのインターネットを利用する上で授業の中でデータ(題材)として利用できる高校生向けのサイトが少ないということが挙げられる。

実践例

ホームページの作成に関し次のサイトを参考にさせていただいた。
●JAVA作成(www.click.or.jp/~tamura
●アニメーションGIF作成(www.annie.ne.jp/~halpin/index.html) 
●CGIの紹介(www.exonemo.com/kao
●HTML文法(ring.asiat.go.jp/openlab/k16/htmllint/htmllint.html
●DynamicHTML文法(ss4.inet-osaka.or.jp
●ホームページの参考(www.access.or.jp/top.html
www.zspc.com
生徒に紹介したサイト
●99人の最終電車(contents.jystnet.or.jp/naminori/99/top.html) 
●更新の必要性(www.shibuya.com/pool/main.html
●ライブ映像の配信(www.x-zone.canon.co.jp/WebView
●SENSORIUM(www.sensorium.org.index-j.html
●技術的な問題(www.docan.co.jp/~websemi

授業で行った情報検索練習問題を紹介する(抜粋)。
1.沼津市の市役所近辺の地図を印刷しなさい。
2.姫路城の築城者と築城年代
…サイトによって色々な名前が出てきたので自分で判断させるのに役立った。
3.世界最初のコンピュータ名
…ENIACという解答が多かった。
4.木沢村は何県にあるか。
…フリーワード検索をさせた。
5.富士山頂の郵便番号
…結局,検索できず,生徒は郵政省に直接電子メールで質問した。

※注1:IT-Education No.6 P23 コンピュータ教育のバグ「先生の顔が見えない教室」を参照
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