ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.44 > p30〜p31

タイピング指導のツボ−3
「タイピング指導 チップス集」
今回のポイント
 このシリーズでは3回にわたって,タイピング指導の方法・手順について考えてみます。
最終回の今回は,タイピング指導にかかわるチップス集です。
 タイピング指導について,これまでの2回でホームポジションの指導からブラインドタッチの指導という展開で指導例を提案しました。正しいタッチタイピングを習得することで,キーボード入力に関する苦手意識や,我流の癖を払拭することができたでしょうか。
 情報教育のコンピュータ実習におけるタイピングは,各種のスポーツを例に考えると基礎練習や準備運動的な要素になるかと思われます。そのもの自体は決して,面白く興味深いものとは感じられません。しかし,例えば,タイピングソフトではゲームの要素を盛り込んだものが主流になっていることから見ても,工夫次第ではモチベーションを維持しつつスキルを身につけさせることも可能であると思われます。コンピュータ実習が軌道に乗るまでは,毎時間の最初にちょっとしたタイピング練習を入れることで,入力のスキルアップだけでなく,時間に遅れず実習をスタートさせる習慣や,コンピュータにログオンした際の動作確認の習慣づけなどにもなります。

●正しい姿勢の例
正しい姿勢の例

 また,練習問題等では指摘されない部分として,入力する際の姿勢や画面の角度についても注意すべき点があります。第一として,キーボード入力の際は,必ずキーボードに体を正対させること。これは,あたりまえのことですが,自宅でのコンピュータ所有者が増えた関係もあり,何も指示せずに実習させると,足を組んだり半身でキーボードに向かったりという生徒も多々見受けられます。第二に,腕に負担のかからない姿勢であること。ホームポジションに手を置いた際に肘が直角になる程度の角度が理想的です。椅子の高さなどで調節できます。第三として,画面の角度です。意外に見落としがちですが,実習室の天井灯や,窓の外の景色が画面に映り込んでいると,入力に支障がないようであっても,眼精疲労や肩こりの原因になるようです。総じて,正しい姿勢が自然に作れて,リラックスした状態で入力できるように習慣づけることが大切です。

●チップス集
(1)ストローク数の計測
  • 問題:指示に従って,人差し指のホームポジションでF J F J...... と可能な限り多く入力しなさい。
  • 展開:あとでカウントしやすいように,書式設定で一行の文字数を統一させておく。
    「用意,はじめ」から「やめ」まで,ストップウォッチで10 秒間計測する。
    ホームポジションを守り,人差し指のみで,交互にできるだけ速く入力する。
    3回程度繰り返し,結果の平均を取る。
    2回目以降は,キーボードを見ずにディスプレイを見ながら入力するように徹底させる。
    通常は人差し指の入力が一番速いので,この結果が文書入力スピードの目標となる。
    「FJ」を繰り返しコピーしてペースト(貼り付け)した場合とのスピードを比較してみても良い。
(2)小指・薬指の運指練習
  • 問題:以下の文章を入力しなさい。
  • ローマ字入力用かな入力用
    [1]ax ox zoo low saw loop[1]ふわりと立ちわらわらと攻めて取る。
    [2]SQL XP QA PW[2]堀で濡れて笑った。
    [3]1+1=2 2/1=2 21-10*2=1[3]わらべたちでメロメロだ。
     [4]ほむら立つプチ竹。
  • 展開:一旦入力させてみて,薬指と小指のみで行ったか確認する。
    再度,薬指と小指のみで入力することを徹底して行わせる。
    うまくできない者には,ヘアゴムやサージカルテープなどで人差し指と中指を巻いて行わせる。
(3)コピー&ペースト
  • 問題:「高等学校」のように,○○学校と,末尾に学校がつく3文字以上の熟語を8個入力しなさい。
  • 展開:「学校」と一度入力したものをコピーして8個にする。
    思いついた答えを学校の前に挿入入力して完成させる。
    コピーの際は,ペーストを7回行う方法と,コピーして増えたものを再度コピーして倍々にしていく方法があるので,両方行わせ,どちらが速いかも確認させると良い。
  • 回答例:中学校 専門学校 林間学校 臨海学校 外国語学校 進学校 農学校 自動車学校 小学校など
(4)フォント
  • 問題:一行ちょうどで終わる任意の文を入力し,それを5回コピーして行毎にフォントを変えなさい。
  • 展開:この設問は,タッチメソッドには直接関係しないが,コピーの実習からの一連の流れで行える。
    一行の文字数がちょうど文の終わりになるように入力する。サンプル文を用意しても良い。
    各行末に改行処理がされていることを確認して,一行毎に違うフォントを指定する。
    できれば,太文字や筆記体のような特殊なフォントも含めて,各々に指定させる。
    フォントによって文字の形や幅が変化し,一行ちょうどのサイズではなくなるのを確認する。
    あわせて,機種によって表示できないフォントがあることも解説すると良い。
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