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報告 |
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ICTプロジェクト プレゼン甲子園
─高校生の情報化と国際化に対応できるコミュニケーション能力育成に関する実証研究─ |
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1.はじめに |
社会の情報化・国際化が進み,これまで以上にプレゼンテーション能力向上の必要性が叫ばれ,高等学校の教育現場にもその波は及んでいます。現在,総合的な学習の時間や教科「情報」など,学校教育の様々な場面においてプレゼンテーションの授業が組み込まれてきています。しかし,人前に立ち自己表現することに慣れていない生徒も,指導方法の教育を専門的に受けてきていない指導者も,戸惑うことが多いようです。本プロジェクトでは,これらの現状を改善し,高校生のコミュニケーション能力育成とともに,指導者の指導能力育成をも視野に入れた活動を行ってきました。プレゼンテーションの中でコミュニケーションが果たす役割を多角的にとらえ,それぞれのセッションを通して段階的に「考える,まとめる,話す,見せる,伝える」などの技術を,レクチャーとワークショップで練習していきます。それぞれの学校の生徒,担当者を中心にゲストのレクチャーも交えて,楽しいテーマと内容でプレゼンテーションの新しい形を模索し,新しい時代に対応できる力の養成を図ろうと考えています。本年度で5年目となりました。
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2.ICT2007 |
(1)概要
本年度の活動には,大阪の4校から数名ずつの生徒と各校からの教員,他県の中学校・高等学校から20名程度の教員,さらに教師を志す大学・大学院生が参加しました。セッションごとにそのセッションを企画・運営する複数のホームルームティーチャーを定め,その指導者を中心に活動を進めました。セッション内では生徒も指導者も,プレゼンテーションの実践を指名されれば絶対に断れないことを原則としました。普段の学校生活にはない活動や環境,参加メンバーの中で,コミュニケーション能力の育成に障害となる緊張を和らげるためにも,参加生徒と指導者を毎回異なるグループに振り分け,多くの人とコミュニケーションをとれる雰囲気作りにも力を入れました。毎回のセッションの後には振り返りの時間を設け,生徒も指導者もその場で電子掲示板(VBB=VirtualBrainstorming Board)に感想を書き込み,活動が通り過ぎていくことなく,その回で得た成果と反省を振り返り,次回に生かせるよう実践しました。
(2)第一回 セッション 6月2日
目的:アイスブレイクを兼ねた交流と,自己を少し違った形で表現することを体験すること。
概要:
1.オリジナルの名札作成とその紹介スピーチ:画用紙に学校名とイメージカラーを表す物をつけて,裏にあだ名を書きます。そして班の中で自己紹介します。個性いっぱいの名札ができあがり,また,楽しいスピーチばかりで場も和みました。
2.グループディスカッション:緊急時の飛行機の機長になって10の項目の優先順位を決める「機長の選択」という内容で,緊急性と重要性をグループで討議しました。進行役・書記・時間割・発表役を決め,3分以内で発表しました。全員の合議で決めるところにポイントがありました。
▲第1回セッション 名刺作り
(3)第二回 セッション 8月25日
目的:たくさんある情報の中から,今回この場所で何を目的にして,何を集めて来て,どう表現するかを経験すること。
概要:各自2分間で,自分の最も自分らしさが伝わると思うところを,プレゼンテーションしました。模造刀やルービックキューブ,本などを持って来ている生徒や,バク転をする生徒もいました。班に1名教師が入り,全体の進行をし,発表代表を1名決定しました。生徒は教師のアドバイスを受けつつ,ブラッシュアップし,全体の前で発表しました。その後,良くした点などを教師がコメントしました。
▲第2回セッション 自己紹介ブラッシュアップ中
(4)第三回 セッション 10月27日
目的:言語コミュニケーションの重要性に気づかせること,グループの中の個人の活かし方を考察すること。グループ活動で誰かが考えをまとめる場合,その過程で個人の考えや個性が失われることもある。個人の考えを活かすまとめ方を考える。
概要:
1.100文字作文作成:4人一組のグループを作り,テーマに沿って一つずつひらがなを書いて文章を作成し,45分間でできた文章を発表しました。
前の人が何を思って書いたのか読み取るのが難しかったという感想が多かったです。
2.プライスレスプレゼン:マスターカードのCMの形式でエピソードを作成しました。カードに書かれた名詞(例:携帯電話,ノート,ユニフォームなど)にエピソードと大体の値段をつけ,最後に「priceless」と言えるエピソードを考えました。
生徒作品例:「車内で聞いたお気に入りのCD2500円」「専門店で買ったおそろいの帽子5000円」「2人でわけあった本場のお茶800円」「親友と行った旅行の思い出 priceless」
聞いている人に「確かにそうだ!なるほど!」と思わせるようにということで,値段もそれっぽいものを考えました。一人一回は必ず発表することとしました。面白い内容になりました。
▲第3回セッション 100文字作文作成中
(5)第四回 セッション 11月3日
目的:次回のプレゼン甲子園に向けてプレゼンの構成やソフトの操作,発表方法に慣れること。
概要:
1.「I LOVE ○○」で1分間プレゼン:○○には自分の好きなモノ・こと・人・時間などを入れます。生徒作品例:「ヨークシャテリアを飼っています。髪結んだり,立てたり,犬で遊ぶのが好きです。今の犬を飼う前,ウサギを飼っていて,死んでしまいました。ウサギは環境に敏感で,寿命が短いです。それが寂しいので犬を飼いました。
ここでは,いかにわかりやすく発表するかを考えさせました(目線や声の大きさなど)。
2.パワーポイントで各校の自慢プレゼン:タイトル,ポイント,まとめの構成で作成。学生や先生の作ったプレゼンテーションを見せて,背景を統一したり,文字の工夫などに気づかせました。
各チームに必ず指導者がつき,適宜アドバイスをしながら30分で作成して,発表させました。
▲第4回セッション 学校自慢プレゼン作成中
(6)プレゼン甲子園 11月18日
目的:集大成として,前半には観客とともに各セッションの振り返り,後半には各高校の生徒たちが,プレゼンテーション。
概要:毎年,リサーチ力,論理的思考力,構成力,表現力等,プレゼンテーション能力を総合的に判断できるようなテーマを検討しています(2007年のテーマは「学校のウリ」)。今年もどのチームも,各校で磨きあげたものを多くの観客の前で披露しました。審査の間,OG・大学生・教員チームがそれぞれプレゼンテーション発表を行いました。また会場からもプレゼンテーションについての意見をもらい,参加生徒達も自ら振り返りを行いました。最後に審査発表をし,審査員からの講評を聞き,締めくくりとしました(審査員の先生には細かい審査用紙を配付していますが,応援以外の見学の方には一番良かった高校とその理由を書く用紙を配っています)。
▲プレゼン甲子園 表彰式
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3.今後 |
2008年度は,装いも新たに2部構成で実施予定です。1部は,情報モラルをテーマにしたプレゼン発表ということで,当日のみの参加募集予定です(2部は,従来通り実施予定)。大阪だけでなく,東京や各地域との交流を広げ,高校生だけでなく,大学生や教員間のネットワークもさらに広げるつもりです。みなさんの参加をお待ちしています。
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