まず,生徒の基本的な能力がどの程度であるか,確認した。自宅にパソコンを持っている生徒も持たない生徒も,系統立てた理解という視点からはほとんど差がなく,ワープロソフト操作とWebを閲覧したことがあるくらいだった。Webについても,検索して閲覧するのではなく,Yahoo!などからリンクされているものをたどって閲覧するくらいであり,受身的なものでしかなかった。インターネットを利用して「進路情報」を収集するには難しいレベルであった。
「情報」においては,極論ではあるがコンピュータを使わなくてもよいといわれるが,実際にそれでこの授業を受講した生徒が納得できるかというと,それは難しい。また,ある程度はコンピュータを操作できることが前提であり,それを系統立てて理解するように構成されている。
実施した生徒たちは,コンピュータの操作が「情報」を実施するには不十分なレベルであり,実際問題としては技術修得をさせながら進めていく必要があった。そのため,教科書は,あちらこちらつまみ読みするように扱うことになってしまった。著作者に対しては,順を勝手に入れ替えて扱ってしまい申し訳ないことをしたと思っている。しかし,実施する実習のためには,教科書のどの部分が必要なのか,またそれに関わる考え方と技術の説明がどこにあるのか,私の能力の範囲では最大限の知恵を絞ったつもりである。概略は表1にまとめた。
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1学期 |
2学期 |
3学期 |
教
科
書 |
第1章 第1節,第3節
第5章 第1節
第2章 第1節,第3節ー1
第1章 第2節 |
第2章 第2節,第3節
第1章 第3節ー2(再度実施)
教科書P73コラム |
第3章 第2節ー2
第2章 第3節(著作権を再度実施)
第1章 第3節ー2(再度実施) |
実
習 |
進路に関する情報の収集・分析・まとめ。
①情報収集
インターネット・進路室・図書室・職員・知人など。
②職業に関するやりがいと苦労の両面を調べる。
③収集した情報の整理,分析,感想を,Wordを利用し書き言葉でまとめる。
④履歴書を書く。 |
プレゼンテーションによる進路情報の発信と共有。
①情報の抽出
②情報の表現
③PowerPointを利用する |
Webページ制作を通じ,自身の言葉
で表現する。
①自分自身の言葉で表現する(話し言葉ではなく書き言葉で表現する)。
②制作するWebページには,図が含まれることとリンクを設定する。
③ホームページビルダーを利用してWebページを作成する。 |
留
意
点 |
情報機器やネットワークの概略
問題解決の手順。
収集した情報の保存(フォルダの作成など)。 |
収集した情報の分類。
圧縮・解凍(情報発信にあわせて説明。ZIPやLZHだけでなくJPEG,MPEGなども含む)。 |
タグを記述する方法と,タグの記述を省略したWebページ作成ソフトとの比較。 |
▲表1:初年度の指導の概略