この家には「えんとつ」があります。家は「たくさんのレンガ」を使っていて、「かいだん」もあります。全体よりも部分をみつめたから分かることです。この家がつくられてから「何年」もたって「古くなった」と思ったのは、筆のあとや色の変化からでしょう。「もうすぐ太陽があがってきそう」なのは、家の背景の色から考えたことでしょう。この子は絵から『年月』や『時間』も感じているのです。そして、たどりついたのは、この家には「若い人」が住んでいることです。たくさん絵とおしゃべりして書かれた手紙です。
お手紙紹介
煉瓦焼
みんなのお手紙①
「?の家へ」
みんなのお手紙②
「とても古そうな家へ」
奥村 高明
先生
先生
みんなのお手紙③
「この家の持ち主さんへ」
奥村 高明
先生
先生
絵と対話をするときに気を付けたいのは意見と理由をきちんと分けることです。「サンタさんが素敵なプレゼントを届けてくれる」のは、煙突が細く弱々しいものではなく、人間が入れそうな大きさと頑丈さがあるという事実から生まれています。「長く大切に住んでくれている」と時間の経過を感じているのは、家の壁に赤や茶色やくすんだ黒などが塗り重ねられているからでしょう。絵からわかる事実と自分の思いを交流させながら、「これからも大切に使ってくれたらうれしい」という「家をつくっただれか」の願いを感じています。
みんなのお手紙④
「昔の家へ」
奥村 高明
先生
先生
子供は「絵を対象物として見る」というよりも、「絵の中にすっと入って」感じたことを言葉にします。「雨の日は、ドアの前ですわってたね」。この子は、入口の前に座って床のひんやりした感覚を味わっています。家の前に「水たまり」がよくできたこと、そこで「遊んだ」こと、「悲しいことがあったらいっつも、いっつも、まどに」いたことなど、いろいろな感覚を伴いながら、思い出にひたります。そして、「20年間ありがとう」という言葉をもう引っ越してしまう「昔の家」に送るのです。
先生
手紙を書くとは、一方的な活動ではありません。相手とつながり合う活動です。相手のことを想い、相手のことを考えて書かれるのが手紙です。この絵には、正面しか描かれていません。でも、子供には、もっと多くのことが見えています。この家にはずっと奥があること、左右対称の特徴があること、入り口の先には「トンネル」があって、部屋には棚やキッチンなどがあること、、、この見取り図は、ただの勝手な「空想」ではなく、絵と対話した手がかりをもとに描かれているのです。