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スウェーデンより ~VOLVO ADVENTURE 2007~

ボルボと世界の子どもの環境交流

ボルボと世界の子どもの環境交流 VOLVO ADVENTURE 2007 大手自動車メーカーのボルボが国連環境計画(UNEP)の協賛のもと主催する環境プロジェクト大会『ボルボ・アドベンチャー』の最終選考が、5月末日スウェーデンのイエテボリにて行われました。10~16歳の学生チームを対象としたこのイベントは今年で5回目。ブラジル、中国、クロアチア、エジプト、インドネシア、マルタ、南アフリカなど世界中から選出された15カ国の中には、日本・愛知からのチームの姿も。地元イエテボリの学生ボランティアホストも交え、賑やかで友好的な充実した4日間でした。

 「ボルボが切に願うのは、車と環境の共存社会の存続。その鍵は子どもたちが握っていると考えています。このイベントは社会貢献であり、そして企業投資でもあるのです」。環境先進国スウェーデンの中でも“環境・安全・高品質”を社訓に掲げる同社はイベントの主催主旨をこう語る。

 世界から集まった子どもへの最初の課題は、子どもが願う環境に優しいバーチャルタウンを作るというワークショップだ。子どもたちは意見を交換し合い、ダンボール上に紙や布やペンで器用に家や公園の模型を作っていた。同日の夜は、学校訪問のあと学生ホスト宅での夕食会。バーベキューやスウェーデン料理を堪能、海と林が広がる北欧のライフスタイルを体験した。2日目はご褒美の遊園地デー。異国で緊張していた子どもたちも、前日以上に交流を深め、リラックスできた微笑ましいご褒美プランだった。

 3日目はいよいよプレゼンテーションの日、英会話がままならずコミュニケーションに難航していた日本チームも身振りと単語で表現することに慣れ始め、約300人の観客を前にさほどの緊張もなく、『竹エネルギーの利用法』についての発表を見事に終えた。

ボルボと世界の子どもの環境交流 VOLVO ADVENTURE 2007

 どの国も5分の制限時間内に精一杯のメッセージを伝え、子どもの目から見た子どもならではの解決法やリサーチ結果を発表した。最終日、ボルボ工場見学のあとは、ダンスパーティ。一大イベントを見事にやり遂げた子どもたちは、深夜をすぎても輪になって汗だくで躍り続け…。

 残念ながら、日本チームは上位3位にくいこめなかった。しかしこの4日間で、環境に対する熱意をより高め、他国の人々と触れ合い世界に目を向ける機会を与えられ、どの国の子どもたちもリトル国際社会を舞台に大きく成長した。初日とはうって変わり、子どもらしい笑顔で語る日本チームのリーダー、平松君の「英語を話すことへの恐怖が克服できた」その言葉にこのイベントの一つの意義が集約されていると言ってもよいのではないだろうか。

ボルボと世界の子どもの環境交流 VOLVO ADVENTURE 2007 しかし結果はさておき、私の主観で書かせていただければ、日本の学生にとって最たる問題は“英語力”というより“英語を話す機会が無いために衰える英語力”だと痛感した。また我々大人との会話に於いても、“子どもらしく大人と対等に話せる子ども”や“自分の意見をしっかりと伝えることのできる子ども”が海外に多いのに比べ、日本の子どもたちは、考える前にわからないと逃げる、茶化してごまかすなどの傾向にあると切に感じた。

 海外に住む一児の母親として、また日本国籍を持ついち日本人ジャーナリストとして、日本の教育システムに提案をしたい。今回出会った日本の学生たちは、たった4日間で国際社会に一歩踏み出す勇気を与えられ、大きく成長できた。海外の同年代の子どもたちと触れ合い影響を与えあえるこのような機会をもっと身近に作ってほしい。そしてお決まりではあるが、受験勉強では学ぶことのできない‘生の勉強’をより多く取り入れる海外の教育システムを見習ってほしい。そうでなければ今後の日本国際化は遅れるばかりだと、私にとっては、強く焦燥感を感じたイベントでもあった。

写真:黒坂あけみ