[第1時]自己紹介メールの送信
交流授業の意義・計画について説明したのち,メーラの設定を行った。本校の生徒はPCメールを利用した経験が少ない。携帯メールでは曖昧になっている件名の扱いや本文書き出しのマナーについて説明し,署名を自動添付する設定を行った。設定後,挨拶と自己紹介を入れたメールを作成,送信させた(図1)。どのような文章にするかは生徒に任せたが,「こういう書き方でいいのか(伝わるか)」と意見を求めてきたり,近くの席同士で確認し合う生徒も多かった。各自が自発的に丁寧な表現を意識しようとする姿が見られた(図2)。なお,交流授業全体を通して,実習中は五つのルールを守って参加するよう,3校共通で指導している(図3)。
▲図1 自己紹介メールの作成例
▲図2 メールを作成する生徒の様子
<ML実習でのルール(要点)> |
1.個人情報を必要以上に出さない。
2.失礼のない表現方法を選択
3.個人を特定できる写真の添付禁止
4. 返信に対してはお礼のコメントをつける。
5.個人的なメールのやり取りはしない。 |
▲図3 参加校共通の五つのルール
[第2時]地域イメージの交換
2回目のメール送信では,「茨城と言えば○○」のように,相手校の地域について持っているイメージを書いて投稿した。同時に相手校からも新潟に対するイメージが送信されてきており,お互いに相手の住む地域に対して抱いているイメージを知らせ合う。
本校からの京都に対するイメージは,小中学校の教科書や修学旅行などで得た経験をもとにして,「舞妓さん」「お寺や歴史的建造物」「八ツ橋」「抹茶」「新撰組」など,さまざまなイメージがあった。茨城に対するイメージは,主にテレビからの情報をもとにした「納豆」「水戸黄門」などが圧倒的であった。また,他県出身の芸能人を茨城出身として勘違いしている例もあったが,敢えて指摘をせず,生徒同士のやり取りの中で気づいていけるようにした。「茨城についてはよく知らないので教えてほしい」という投稿も目立った(図4)。
▲図4 地域イメージメールの例
この「イメージ交換」は,単に生徒同士の交流を深めるだけでなく,次の課題メール作成の下地作りとしての役割もある。交流相手が持つ予備知識を知ってお くことで,相手の存在を意識することができ,コミュニケーションの一部としてふさわしい内容や表現方法を検討させることができる。
[第3時]地域紹介の題材検討
相手校から届いたメールを読み,新潟がほかの地域からどのようなイメージを抱かれているかをまとめた。新潟に対するイメージは「豪雪」,「米・コシヒカリ」が圧倒的に多く,生徒からも「やっぱり米や雪しか言われない」という感想が挙がった。
続いて,自分が送る地域紹介メールの題材を検討させた。ほかの地域からも挙げられた「新潟と言えば米・雪」というステレオタイプは,新潟に住む本校生徒達自身の中にも根強く存在しているようで,「送られてきた地域イメージは本当のことだから,何を取り上げたらよいかわからない」という発言もあった。これらの「米」や「雪」のイメージはテレビや学校の教科書を情報源としている例が多かった。
そこで,雪や米がその情報源でどのように伝えられているか考え,それらが実際の新潟の生活の中にある様子とどう違うか意識してみるように働きかけた。 最終的には,雪というテーマから積雪量の県内地域差に着目したり,信号機の向き(新潟の信号機は積雪の重みに耐えるため,赤黄青が横並びではなく,縦並びになっていると言われている)に焦点を絞った例もあった(図5)。
▲図5 信号機を紹介したメール
このテーマ設定までは2学期中に行い,取材(写真の準備など)は冬休み中に各自で行わせた。期間中,県内のテーマパークに取材に出掛けるなど,意欲的に準備をする生徒もいた。写真は携帯電話のカメラ機能やディジタルカメラを使って撮影したものを提出させることとした。
[第4時]地域紹介メール作成
最近のディジタルカメラは画素数が増え,生徒が用意した画像はサイズがかなり大きい。そこで課題メールの作成の前に,画像をネットワークを使って送信する際に適切な大きさにリサイズする方法を取り上げた。画像をペイントで開き,サイズ変更の画面で長辺を250ピクセルに変更するという方法で処理した。
続いて,第3時で考えた構成に基づき,写真を組み入れたメールを作成した(図6)。それ以外にも,「米を使った食べ物」,「暖房・防寒具いろいろ」などをテーマにしていた(図7)。
▲図6 地域紹介メールの例1
▲図7 地域紹介メールの例2
[第5時]感想メールと振り返り
交流授業の最後に,地域紹介メールの感想を送り合う時間を設定した。また,実習全体を振り返って学んだことをプリントに記述させる予定である。昨年度の生徒の感想からいくつか紹介したい(図8)。
・他県の人とメールができて,とても楽し
かった。新潟のことを伝えることで,新た
に新潟の魅力を発見できた。
・東京も京都も行ったことがあったが,その
土地の違った顔も見られて楽しかった。
メールを送るときの大切なことを学び,普
段のメールへの意識も少し変わった。
・自分の地域のことをわかりやすく伝えよう
としてくれる相手のメールを見て,新潟を
もっと知ってもらいたいと思うようになっ
た。 |
▲図8 生徒の感想 |