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教育実践例 |
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伝えよう大震災をウエブページで
—阪神淡路大震災後の防災教育とインターネットによる発信— |
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1.はじめに |
兵庫県立芦屋高等学校(全日制—普通科24学級)では,平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)によって生徒3名の尊い命を失い,校舎3棟中2棟が全壊し,また体育館などが避難所になるという三重の苦しみを経験した。平成7年4月入学生を調査したところ,60%を越える生徒の家庭が全半壊の被害を受けていた。
震災を受けた学校の記録と生徒の体験を広く読んでもらうために,Webページを使って「震災と復興の記録」の発信を平成8年9月より開始した。並行して震災の記録の冊子を6冊発行している(平成12年3月末現在)。
平成8年度から地学1Bの授業において「震災」を取り上げ,休業中に課題研究として震災体験の記録,震災復興の調査,地震と防災に関する研究,震災2年目,4年目,5年目の地域の影像の記録などをおこなった。そして各自の課題研究レポートをコンピュータを使って入力し,それらをWebページで発信することを4年にわたりおこなっている。
平成12年3月現在,都合5個学年にわたって,計290名の生徒の作品がWebページ上にある。 |
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2.実践・活動の概要 |
平成7年1月17日
兵庫県南部地震により中,南館全壊。自宅全壊で生徒3名死亡。体育館などに1200人が避難する。
平成7年5月
平成7年度兵庫県いきいきハイスクール推進事業で「震災に学ぶ〜芦屋市被災模型の制作および記録集の発行」をおこなう。
平成8年3月
公式記録集「復興をめざして」(震災対策委員会編),生徒記録集
「芦高生は震災後何を考えどのように行動したのか」(大森秀樹教諭編)が発行される。
平成8年5月26日
平成8年度兵庫県いきいきハイスクール推進事業で「震災に学ぶ〜インターネットを使って阪神淡路大震災地域復興状況を世界に発信する〜」が開始される。
平成8年9月20日
Webページ第1版を公開。
平成9年3月
生徒文集「芦高生の見た震災復興」(いきハイ実行委員会編)発行される。
平成9年5月
平成9年度兵庫県いきいきハイスクール推進事業「震災に学ぶ〜インターネットを使って阪神淡路大震災 こころの復興状況を世界に発信する〜」が開始される。
平成9年8月9日
日本教育情報学会主催第1回ホームページコンテストで教育情報学会賞(最優秀)を受賞する。
平成10年3月17日
記録集「芦高生のこころの復興」(いきハイ実行委員会編)が発行される。
平成10年5月
平成10年度兵庫県いきいきハイスクール推進事業「震災に学ぶ〜インターネットを使って,阪神淡路大震災教育の復興状況を世界に発信する〜」が開始される。
平成10年12月26日
朝日新聞社主催第3回スクールページコンテストにて「こころの復興生徒文集」が審査員特別賞を受賞する。
平成11年3月
生徒作品集「芦高生の見た震災復興2」(いきハイ実行委員会編)が発行される。
平成11年5月
平成11年度兵庫県いきいきハイスクール推進事業「震災に学ぶ〜インターネットを使って阪神淡路大震災の復興状況を世界に発信する〜」が開始される。
平成11年10月12日
第1回OMEプログラミングコンテスト(明星大学主催)高校ホームページ部門で第1位を受賞する。
平成11年11月21日
Webページへのアクセスが累積3万件を越える。
平成12年2月14日
Webページ第17版を公開する。
平成12年3月17日
生徒作品集「芦高生の見た震災復興3」(いきハイ実行委員会編)が発行される。 |
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3.組織と費用 |
平成8年にインターネットに興味を持つ教師が集まり実行委員会を組織した。平成8,10,11年度は地学1Bの授業で取り組んだ課題研究を,9年度は1・2年生全員に震災体験の作文を課した。その中より優秀作品をサイトで発信している。
Webページの開設は,兵庫県の「いきいきハイスクール事業」としておこなわれた。予算は年間80〜40万円である。費用の内訳は,器材のリース費用,通信費,プロバイダーの年会費,作品集の製本・印刷費,消耗品などである。 |
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5.今後の取り組み |
平成11年に,情報処理教室にサーバーとクライアント(40台)及び専用線が導入された。ウエブページ作成ソフトやスキャナ,デジタルカメラなども備えられている。震災より5年をすぎた現在でも,生徒は当時のことを昨日のことのように鮮明に記憶している。これからも生徒の年齢に応じた震災の記録と復興の過程の発信を行っていきたいと思う。
また地域と学校,保護者と学校をつなぐメディアとしてWebページやメーリングリストを利用していきたいと考えている。 |
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