問題解決の最初のステップは問題を見つけ出すことである。ここで有効な手法は,ブレーンストーミングとカードを用いたアイディア整理法である。教科書のp.10では,アイディアや情報をカードに書き出し,グループ化しながらまとめていく方法が紹介されている。
(1)アイテムの準備
いきなり『今日は○○について話し合いましょう』といっても発言は生まれない。たとえば,付箋紙,マーカー,先の太いペン,A3用紙や模造紙のような大きめの紙などのアイテムを準備することからはじめる(図5)。
▲図5 カードを用いたアイディア整理法の準備(p.10)
議論を行うには,「自分たちで書き出さないことには,何もはじまらないな」という雰囲気をつくることが大切である。教師が必要以上の指示をせず,生徒が動き出すのを待つことも求められる。
(2)キーワードをたくさん見つける
まず,これまでの経験から「情報社会だからできたこと」,「情報社会だから起こったこと」をできるだけたくさん思い出して,付箋紙に連想するキーワードを書き出していく。付箋紙には複数の内容は書かず,1枚につき一つの事項を記述するようにする(図6)。
▲図6 付箋紙にキーワードを書き出した例(p.10)
ここでは,個人の作業になり,自分自身で考えることが大切である。場合によっては,一人につき10枚は必ず書かせるなどの基準を設けて強制的に書かせることも必要である。結果的にグループ内で同じ意見が出てもかまわない。なお,付箋紙に書くキーワードは,先の太いペンなどでわかりやすく大きな文字で書くことを意識させる。
(3)カテゴリに分類する
たくさんの付箋紙が集められたら,同じものや関連のあるものをまとめる収束的な思考へ進む。アイディアを出す発散的な思考とは異なる考え方なので,頭を整理するためにも,カテゴリに分類する作業の前には,少し「休息」が必要である。問題を深くじっくり考える場合は,付箋紙に書き出す発散的な思考を数日間続け,すべてのアイディアを出し切ってから,カテゴリに分け,まとめる作業を行うこともある。
カテゴリに分ける場合は,まず付箋の内容をよく読み,関連するものどうしをグルーピングしていく。次にカテゴリのタイトルをつける。タイトルを吟味させることで,付箋紙に書かれた内容の違いを明確にすることができる(図7)。
▲図7 カテゴリに分け,タイトルをつけた例(p.10)
(4)整理してわかりやすく発表する
ここまでの結果を発表させる。発表は,模造紙などに貼られた状態のものでもよい。しかし,時間があれば,より情報を整理させるためにカテゴリどうしの関係を樹形図などで整理してあらわすことにも挑戦させたい(図8)。
▲図8 樹形図や表にまとめた例(p.10)
これには,p.47のアカデミックスキルズ1にある図解のはたらきの解説が役立つ(図9)。
▲図9 図解のはたらきについての解説(p.47)
図を使うことで,複雑な関係も視覚的に整理でき,情報の受け手の理解を助けることが多いことを学習させる。
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