共通教科「社会と情報」では,世の中で情報がどのように扱われ,自分たちが情報をどう活用して生活すればよいのかについて学習し,情報社会に参画する態度を養うことが求められていることはいうまでもない。そこで,高校生が世の中と自分たちとのつながりを意識しやすいように,全体を通して身近な話題を取り上げて説明するようにした。
(1)ダイジェストとしての第1章
今日,高等学校で学ぶ生徒はそのほとんどが生まれながらに情報社会で生活してきた子どもたちである。携帯電話は当たり前のツールとなっており,パソコンも家庭や学校に普及し,おもなアプリケーションやWebは日常的に利用している。しかしながら「コンピュータはどういうしくみで動いているのか」などといった,情報に関する知識はあいまいな解釈に留まっており,改めて整理し直す必要がある。
また,携帯電話などのメディアに日常的に接していると,詐欺や誹謗中傷などの被害に巻き込まれたり,そうでなくても「ヤバい(よくない)」と直感したりする場面に出くわすことは多い。なぜ「ヤバい」のか,その理由を十分に理解していなければ,さらなる被害に巻き込まれやすい。
「見てわかる社会と情報」の第1章では,情報の授業をはじめる際に,これまでのスキルや体験,知っていることを確認したうえで,これから学習することを見通すダイジェストとしての役割を担っている。これから情報の授業で学習することは,ここで確認したことをさらに深く理論づけすることであり,これを学べば情報社会に胸を張って対峙できるという,目的意識をもって授業に臨ませることができる。
(2)日常的に行う情報活用をまとめた第2章
第2章では,情報をわかりやすく整理して伝えるということを,学校や日常生活で扱うような身近なデータを題材にして取り組む内容となっている。この章で基本を習得すれば,ほかの問題に直面しても,自らの力で分析・解決したり,他者に説明したりできる。
(3)情報社会の課題をとらえなおす第3章
第3章では,情報が社会に与える影響について考える。とくに情報モラルに関連する項目を重視した。さまざまな犯罪やトラブルに巻き込まれたり,自ら不適切な行為をすることのないよう,事例をふんだんに盛り込み,しくみや制度を押さえてしっかり理解させることを目指している。
(4)情報通信ネットワークのしくみを学ぶ第4章
ここまで学習が進むと,情報通信ネットワークがどのようになっているか,自ずと興味をもつようになるだろう。そこで第4章では,情報通信ネットワークのしくみやさまざまな情報システムについて扱い,情報の科学的な理解を深められるような内容になっている。ここでは,第2章で習得したスキルを活用し,さらに深く調べ,得た情報を加工し,他者にわかりやすく伝え合うような学習活動が想定される。 |