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ICT・EducationNo.48 > p6〜p7

報告
情報教育研究会設立の目的と展望
─新教育課程での『情報教育』に向けて─
鴎友学園女子中学高等学校
佐藤 博臣
1.「情報教育研究会」設立の目的
(1)設立にあたり

 「情報教育研究会」は,会員のスキルアップ並びに情報教育の内容や教育環境の充実と向上,会員間の情報交換を目的に,情報教育に関心のある方すべてを対象として,平成23年4月1日に設立いたしました。入会費・年会費は無料です(連絡通信費を徴収しております)。8月1日現在,80名弱の会員を有しています。本稿では,本研究会の活動についてご紹介します。
 本研究会は,東京都高等学校情報教育研究会(都高情研)とも,東京私学教育研究所の情報教育・視聴覚教育研究会とも異なる研究会です。それぞれの研究会等で活躍されている方を発起人として,新たに設立しました。
 設立にあたり,会の名称には非常に悩みました。各都道府県規模,関東や関西といった地域規模,そして全国規模の情報教育に関する研究会がすでに存在する中,あえて「東京」や「私学」,「高等学校」といった冠をつけず,「情報教育研究会」としました。

(2)設立趣旨

 高等学校において教科「情報」の授業が始まってまもなく10年になります。平成25年度からは新学習指導要領によるカリキュラムとなります。
 独自に工夫したカリキュラムによる情報教育に取り組んでいる事例なども聞かれる一方で,教員個々の研究・工夫だけでは,日々進展していく情報化社会に授業内容を対応させることが大変でもあります。また,教科として「情報」が新設されたのは高等学校だけでしたが,小・中学校における情報教育の内容や実践例の情報交換が必要だという声も高まっています。
 そこで本研究会は,公立・私立を問わず,また地域に限らず,高等学校に限らず,教科「情報」に限らず,小学校から大学にわたる情報教育に関心のあるすべての教員,学生に会員となっていただきたいと考えています。
 また,情報教育には,教科書・教材の充実だけでなく,コンピュータ本体,ネットワーク環境やシステムの構築,サーバ運用や周辺機器および視聴覚機器などの拡充も必要不可欠であり,それらを扱う企業の学校教育向け部門との連携も重要となっています。
 さらに,情報系の学科を持つ大学や専門学校,教育事業の部署を持つ企業などがそれぞれ研究会を発足していますが,そこでは競合する他校・他社の研究・開発や製品情報,活用事例を取り上げるのが難しいことがあるかもしれません。
 しかし,本研究会では情報教育関係の学校,企業各社にも会員となっていただきたいと考えています。それは競合・競争相手となる可能性もあります。しかしながら,それらの方々の集まる研究会となれば,競合するデメリットよりも協業やコラボレーションするメリットの方が大きくなると考えているのです。教員による事例発表だけでなく,企業各社の同様製品の活用事例比較,意見交換なども本研究会では取り上げようとしています。
2.これまでの活動内容
(1)設立大会(平成23年4月1日)

 本研究会の設立の趣旨を色濃く発揮できるよう,内容を考えました。
 第1部の研究発表では「新課程を意識した授業提案」をテーマにして,中央大学杉並高等学校の生田研一郎先生による「4時間でおこなう著作権の授業」と,東京都市大学付属中学・高等学校の神藤健朗先生による「シミュレータを使用したロボットによる感情表現活動」の2つの授業提案が行われました。
 第2部では,新課程に向けて,情報の教科書を出版する各社のポジショントークおよびパネルディスカッションを行いました。会場でしか聞けない(ここには書けない)大変興味深い内容でした。

(2)第1回研修会(平成23年6月18日)

 電子黒板について,株式会社内田洋行に機材の提供をいただき,帝京高等学校の三輪清隆先生による電子黒板の授業での利用例,操作実習,活用に対する質疑や討議を行いました。情報教育の環境拡充,機器の利用スキルのアップ,企業との連携強化など,本研究会の趣旨に沿った研修会となりました。

(3)研究大会(平成23年8月2日)

「震災と情報教育」,「初等教育の情報」の2つをテーマにして実施しました。研究発表では,小学校における情報教育について府中市立本宿小学校の中嶋眞美子先生に,中学校技術・家庭科における情報教育については千代田区立九段中等教育学校の田崎丈晴先生より,それぞれの取り組みについて発表いただきました。
 また,震災と情報教育というテーマで,中央大学杉並高等学校の生田研一郎先生から「Twitterのデマに振り回されないために」と題して情報の授業で取り上げた実践事例を発表いただきました。さらに,日経BP社発行の『日経NETWORK』5月号をもとに「震災にまつわるネットワークの疑問」について編集長の小原忍氏に講演いただきました。ともに震災時における有用な知識・理解を深めることができる内容となりました。


▲図1 研究大会の様子
3.今後の情報教育研究会について
 これまでの本研究会の活動内容については,Webサイト(http://www.infoedu.jp/)もご覧ください。
 今後は,先進的な研究発表だけでなく,明日すぐにでも実践できるような事例発表を行っていくと共に,教育現場の声と関連企業とをつなぐ太いパイプとなり,教育内容・環境の一層の充実に努めて参ります。
 入会は随時受けつけております。詳しくはWebサイトをご参照ください。
 情報教育研究会をどうぞよろしくお願いいたします。
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