本校では,コンピュータに関する学習は,昭和59年度より技術・家庭科の選択教科で行われ始め,徐々に他の学習の中で課題解決の一つの道具として利用されるようになってきた。そこで,コンピュータの利用の仕方等どこかでまとめて学習する必要性が生じ,平成元年度より,全学年で「特設コンピュータ学習」として学級担任ともう1名の教師のティームティーチングで行うことから始まった。同年,技術・家庭科では,「情報基礎」領域を必修教科で年間35時間取り扱うようになった。その後,いろいろなメディアについても学習がそれぞれバラバラに行われていたものを「メディア学習」として教育課程の中に位置づけていった。 本年3月に生徒用の新しいパソコンが40台導入され,生徒の新たなコンピュータ利用が期待され,メディア学習の内容も刷新することとなった。 ▲カリキュラムの全体図
<国語科による「新聞講座」> 情報を伝えるメディアとして,古くから用いられている「新聞」であるが,「〜新聞」「〜だより」という形で,学習成果を発表したり生徒会活動で用いられたりするなど,日々の学校生活においても身近なメディアといえる。 この講座では,「新聞」を「発信メディア」の一つと捉え,「新聞」を効果的に活用できるように,その特性や作り方を学ぶ。 学習の流れ ①「新聞」づくりの時のポイントを確かめよう。 ②「記事」の作り方を知り,練習してみよう。 ③「インタビュー」を記事にしよう。 ④紙面への割り付け方(レイアウト)を学ぼう。 ⑤レタリングで引きつけよう。 ⑥実際に「新聞」をつくってみよう。 ⑦できあがった「新聞」の鑑賞会をしよう。 この講座で学習したことは,すぐにある校外学習でも,学習のまとめとして壁新聞づくりに生かされる。 ▲ワークブック ▲校外学習のまとめ作品例 <「メディアタイム」によるワープロ講座> この講座では,「私の○○○を紹介する」という課題を設定し,パソコンでそれを表現することによって,ワープロソフトの操作方法を学ぶことをねらいとしている。 ここでは,学級担任とフリーの教師とのティームティーチングで指導する。 学習の流れ 1時間目 ・ワープロとは ・ソフトの起動と画面構成 ・ファイル 開くと保存 2時間目 ・文字の入力 書体とサイズ 3時間目 ・印刷プレビューと印刷 4時間目 ・ページ設定,書式等 5〜7時間目 ・課題 8時間目 ・評価とまとめ <社会科による「OHP講座」> OHPは,準備や操作が比較的簡単で手軽に活用でき,使い方によってはすばらしい効果を上げることができるメディアの1つである。生徒の活用頻度も最も高い。この講座では,OHPの特性や基本的な使い方を学んだ後,課題学習に取り組む中で生徒一人一人がTPシートを作成し,発表の仕方を身につけさせることをねらいとしている。 学習の流れ
あらかじめ用意した見本を示し,興味・関心を持たせる。
いろいろな機能についていちいち教師が説明していくのではなく,仲間同士教え合ったり,「HELP」機能の使い方を示すことにより技能を付けさせるようにする。このことは,他のソフトでも同じように自分で解決できる力として大切である。
本年度が初めて実施する講座であるので,生徒にはテーマ例を示していない。テーマは,自由としたが,必ず,グラフを入れることを条件とした。テーマを分類すると,映画やアニメ,スポーツに関すること,コンビニや商品,学校のこと,家庭のこと,地域のこと,社会問題のことなど生徒を取り巻く様々な内容を取り上げている。
大まかな発表の流れを考え,雑誌や文献,インターネットなどを使って,資料の収集を行う。 ▲制作の様子データを入力
一人ずつプレゼンテーションを行い,他の生徒は,相互評価表に評価しながら作品を鑑賞する。 ▲プレゼン発表会の様子
本校では,生徒に豊かな個性と自己教育力を培うことをねらいとして,基礎的・基本的な知識・技能の習得と問題解決的あるいは課題追究的な学習を重視した教育活動を推進してきた。生徒は,自ら課題発見,調査・研究,発表や討議,新たな課題発見へと,この一連の流れの中で,情報リテラシーが育成され,活用されてきているものと考える。今後は,さらに情報発信について,具体的な活動を通して充実させると同時に,影の部分について考えさせる場面が必要と考える。