(1)マルチ情報教材の開発 現在の中学校における情報教育では,学校ごとに指導内容・指導時間に差が生じている。これは,家庭等でパソコンに触れる機会の有無によっても拡大し,高校へ入学してくる生徒の情報スキルに大きな格差となって表れている。 このため高校の情報系科目では,パソコン室での実習において,スキルの低い生徒の基礎的な個別質問に教員が対応している間,他の生徒の学習が止まってしまう問題が発生している。また,頻繁に発生する生徒マシンのトラブルに対応する時間も授業進度の妨げになっている。 そこで,この問題に対応し,さらにスキルの高い生徒に対しては,より高度な学習内容の提供を目標にした教材開発を,昨年度から教員の共同研究として行っている。 具体的な開発教材イメージとしては,授業者がパソコン室での実習において,生徒の個人差に個別対応する部分を減らすため,生徒自身がそれぞれのペースで個々に学習を進められるような『マルチ情報教材』(Web形式)の制作があげられる。生徒はこれをブラウザで閲覧しながら,基礎から発展学習までの柔軟性ある学習課題に取り組むことにより,教材側でのスキル格差吸収をねらう。
複数校で同一教材を使用することのメリットとして,教材の改善へ向けて多角的な意見を得られるという点がある。よって今後はこの点を活かし,利用者による教材のバージョンアップの体系整備を積極的に進めて行きたい。 また,この教材はLAN内での使用となっているが,Web形式であることから,インターネット上に公開することも可能である。よって,生徒が自宅にあるパソコンに『Pixia』を入れ,ネット上からこの教材を開くことで,家庭での学習も可能になる。この学習形態は,「e-Learning」と呼ばれ,時間と場所を問わない学習方法として企業や大学で実際に行われているが,今後はこの新しい学習形態の,導入も検討していきたい。 ▲御殿場高校生徒作品1 イタリア(シチリア島エリチェ) ▲御殿場高校生徒作品2 タイ(エメラルド寺院)