本校では,3年教養コース(就職希望者が多い)において,選択の「情報基礎」を実施している。授業内容としては,ワープロソフト・表計算ソフトの二つを習得させることが目標であり,最後に時間的余裕があれば,インターネットやLANについても多少は触れている。週2単位,2月からは家庭学習ということで,授業時間数が少ないため,技術を教えることが主であり,それを生かす状況や場面,つまり問題解決に利用する工夫へとは結びつかない。しかし,平成14年度においては,4単位の「情報基礎」を実施することになった。そこで,授業の中で,「情報A」の内容にも触れることにより,「課題をどのように解決するか」を考えていく過程,そしてモラルや著作権などに対する考え方など,情報社会に適応できる技術と考え方を身に付けさせたい,と考えた。 授業内容は,以下の通りである。 平成13年度の情報基礎(2単位)
(1)まとめ 1学期から2学期中頃(各アプリケーション単体)までの授業と,それ以後(統合的な課題)を比較した場合,そしてモラル等についても学んだ感想から,以下の意見が多くあげられた。 1) 複数のソフトを利用したり,チームでの作業を行うことによって,仕事の組み立てを自分たちで考えたり,話し合ったりするのが面白かった。 2) 関数を探したりWebページを検索したりすることで,習ったこと以外でも自分で工夫して取り組むことが可能なことが判った。 3) パソコンを利用していても,常に人間を意識する(人に見せる,人に見られる)ことを忘れないようにしたい。 4) パソコンを使うのが便利な場合もあれば,本や新聞の方が便利な場合もあった。 「パソコンを使う」という姿勢ではなく,「〜のために,パソコンを用いる」という姿勢が大切であることが,改めて実感できた。生徒自身にとっても,平成13年度の生徒は「ワープロや表計算の使い方を覚えた」に対して,平成14年度の生徒は「情報を活用する」という意識に変化してきた。情報を収集・加工活用・発信という流れを持つ演習をすることによって,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てることができると思われる。また,常に相手(人間)を意識させることで,著作権やモラル等に対する意識についても,満足できるレベルに達することができる。 (2)今後の課題 今年度より,本校では「情報A」を2単位で実施している。一学期を終了して,著作権やネチケットなどについては,昨年と同様に定着すると思われるが,技術については中学校間のスキルの差が大きいため,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てること,問題解決能力の育成まで進展させることができるか,が課題である。今後は,情報教育の目標を踏まえ,演習内容などの工夫することによって,より成果の上げられる授業展開を考えていきたい。