(1)表計算
表計算の例として,クラスの会計係として出納帳を作るという課題を設定しました。丁度学園祭の時期で,課題としては取り組みやすい内容でした。出納帳はセルに式を入れ,単価と個数を入力すれば自動的に合計や残高がでるようにし,レイアウト等は自由に考えさせました。
(2)グラフを作る
「世界がもし100人の村なら」という本の続編を資料にして,世界の人種や言語,宗教のグラフを作りました。見やすい工夫をし,グラフをもとにレポートを書いて提出させました。
(3)ワープロソフトと描画ソフトを同時に使う
指数計算とその結果をグラフで見るために,大腸菌の分裂による数の増加や利息計算を行ないました。エクセルによる授業はこの3回で,コンピュータの計算機としての活用例を取り上げたつもりでしたが,計算を苦手とする生徒が多く見られました。
(4)プレゼンテーション
2学期の中心となる取り組みが,プレゼンテーションでした。プレゼンテーションは発表者の伝えたい内容が聞き手にどのように伝わるかと,聞き手がその情報を受けてどの様に変化したかが大事になります。このうち授業では前者の観点で生徒がプレゼンテーションを評価し,その評価を発表者に返して再び次のプレゼンテーション作成に活かし,プレゼンテーションのスキルを向上させるという展開です。前述した評価システムツールを利用しました。このツールは,発表者の様子をビデオカメラで撮った画像と,パワーポイントのスライドを同期させながら記録します。さらに,例えば発表がよいと思ったら各生徒がエンターキーを押すという指示を出しておくと,どの時点でどの生徒がエンターキーを押したかが記録されます。発表後に,プレゼンテーションをリアルに再現しながら,聞き手の反応を客観的に把握することができるものです。
取り上げたテーマは,「電車の中のマナー」で具体的に,携帯電話,車両内での食事,化粧,等のテーマから選び,4人一組の班で,ディレクター,パワーポイント作成,発表者などの役割分担を決めて,3時間ほどかけてプレゼンテーションを作ります。それを,3分の制限時間内で発表します。生徒は,発表を聞きながら,納得したり,発表がうまいと思ったりしたところでエンターキーを押します。すべての発表が終わると,各生徒はすべての発表をもう一度自分のパソコン上で見て,画面上とプリントの書き込みの2種類の評価をします。パソコン上の評価は理解度と賛成度を5段階で感想を3段階で評価をさせました。さらに,実際に発表を聞いていないもう一つのクラスの発表もすべてパソコンで見て評価させました。プリントの記述評価は「発表者」,「PPT」,「全体の構成」,「その他」の4項目で,これは班ごとに次の時間までに集計し,各班にこの評価を参考として2回目のプレゼンテーション製作を取り組ませました。テーマは電車のマナーの中から別なテーマになるようにして,比較できるように同じテーマが3班ずつになるように分けました。2回目の発表は,推薦受験の時期と重なり条件が悪かったのですが,平均するするとどの項目でも改善が見られています。生徒の相互評価はプレゼンテーションに限らず,情報の伝達を目的とする授業では,動機付けやスキルアップの点で大きなメリットがあります。
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▲コンピュータ授業のスキルアップ(生徒の自己評価)
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