2002年実施の学習指導要領により,中学校技術・家庭科(技術分野)の学習内容が,「A技術とものづくり」と「B情報とコンピュータ」となり,技術分野において,情報教育に割かれる時間は,ほぼ50%となった。このことによって,技術科は,九カ年の義務教育の中で正規の授業時間中に情報教育を担当する教科としての意味合いがますます色濃くなってきている。 しかし,多くの学校のカリキュラムでは,ものづくりと情報教育が独立して扱われ,依然として旧学習指導要領における「情報基礎領域」の多くの題材践がそうであったように,コンピュータの操作スキルを身に付けさせることだけをねらいとした,架空のデータを扱った授業が行われている。このことは,学習指導要領が示す「生活に即した技術・家庭科」という目標からすれば,バーチャルな面ばかりが目立ち,よい傾向にあるとは言えない。 また,情報教育の目標(1.情報活用の実践力の育成 2.情報の科学的理解 3.情報社会に参画する態度の育成)を前提としたカリキュラムが求められるが,3学年間の「情報とコンピュータ」の学習内容にバランスよく位置づけられていない場合が多い。 そこで,本稿で報告する実践では,「情報とコンピュータ」で扱う題材を「技術とものづくり」に求め,情報の収集・処理・生成・発信が,具体的な学習目標のもとで行われるよう工夫してきた。
ディジタル表現基礎…プレゼンテーションスキルの獲得 ディジタル表現応用…htmlで作品データベースを作成 ものづくり基礎Ⅰ…副題材製作で素材や工具に慣れる ものづくり基礎Ⅱ…電気工作の基礎スキルを獲得する ものづくり応用Ⅰ…「すき間家具の製作」 ものづくり応用Ⅱ…「プランタ菜園のWeb作業記録」 ものづくり応用Ⅲ…「ロボットコンテスト」
1段階(栽培マニュアルの作成) ・生徒が自分で選択した作物について,情報収集しながら,Webでマニュアルを作成し公開する。 2段階(栽培体験と観察記録) ・実際の栽培を通して,ディジタルカメラで記録した画像を使ってWebによる観察記録うを公開する。 3段階(Webによるレポート作成) ・マニュアルページとこれまでの観察記録の蓄積から後輩向けの栽培マニュアルとしてまとめる。