本校では情報Aを念頭に置いた授業を,3年生の選択科目として開講しています。平成11年度より,試行錯誤を繰り返し,追加・修正を経て,現在の授業内容となっています。授業内容は私のWebサイトで公開しています。 学業にあまり自信の持てない生徒が多いため,授業は実習を主体とし,コンピュータを臆せず使えるようなリテラシーの面と,Webページの作成などを通して著作権などについて考える情報モラルの育成に主眼を置いています。
授業準備のポイントは,Black JumboDogへのアカウントの一括設定とOutlookExpressの自動返信の設定です。 (1)BlackJumboDogの設定 BlackJumboDog(以下BJD)をインストールし,メールサーバとして利用するための基本的な設定を行います。 1.BJDを起動します。 2.画面右下インジケータにBJDのアイコンが表示されるのでダブルクリックします。 3.BJDのメニューから[設定]→[メールサーバ]とクリックします。 4.[メールサーバを使用する]にチェックを入れ,ドメイン名を入力します。校内だけで使う場合は,実在しないドメイン名にすると安全です。 (2)メールアカウントの設定 BJDにメールアカウントの設定をします。 1.利用者タグをクリックし,メールアドレスを1件程度設定し,[OK]をクリックします。 2.スレッド初期化中のウインドウが表示され,BJDのウインドウに戻ります。 3.[ファイル]→[終了]とクリックし,BJDを終了します。 4.インストールしたフォルダにあるファイル[Mail.Dat]をテキストエディターで開きます。 5.[アカウント,パスワード,コメント]の順にデータを入力します。パスワードは暗号化されていますが,そのまま入力しても有効になります。 6.一括登録するには,生徒用アカウントのリストをExcel等で作成し,csv形式で保存し,テキストエディターを使い,[mail.dat]の末尾に貼り付けます。 7.上書き保存し,BJDを起動すると反映されます。 (3)先生機の設定 この設定によって,自動返信を実現しています。 1.[ツール]→[メッセージルール]→[メール]で[新規作成]をクリックします。 2.[ルールの条件]から[件名に指定した言葉が含まれる場合]をクリックし,[ルールのアクション]から[指定したメッセージで返信する]をクリックします。 3.[指定した言葉が含まれる]のリンクをクリックし,返信のキーワードとなる言葉を入力します。件名が少し間違っていても返信できるように,キーワードを細かく指定しておくとスムーズに進行します。たとえば,「電子メールの利用」であれば,「電子」と「利用」をキーワードとして指定します。複数のキーワードを設定した場合は[オプション]をクリックします。 4.[ルール条件のオプション]で[メッセージが次の言葉すべてを含む場合]にして,[OK]をクリックします。['電子'または'利用']が['電子'および'利用']に変わります。 5.[指定したメッセージ]のリンクをクリックし,あらかじめ用意した返信のテキストファイルを指定します。 6.これを繰り返して設定します。 7.生徒の送信したメールにすぐに返信するために,新着メッセージのチェック間隔を短くします。[ツール]→[オプション]で,[新着メッセージをチェックする]の時間を短く(1分程度)にします。 (4)説明ページの作成 ダウンロード・インストール・アカウントの設定・メールの送受信の方法を説明したWebページを作り,イントラネット上に用意します。プリントでもかまいませんが,ディスプレイだけを見て作業ができ,フルカラーのスクリーンショットが載せられるWebページによる説明のメリットは大きいと思います。 私の作成した説明のWebページを参照して下さい。
メールアカウントとパスワードは個別に印刷し,内容が見えないように折って生徒に配布します。大切な個人情報であることに気づかせるためです。 説明があるWebページを開かせて,あとは各自が実習に取り組みます。 アカウントの設定が間違っていても送信はできてしまいます。そのため,受信ができないところで,アカウントの設定の間違えに気づきます。自分のメールアドレスの入力間違えもありますが,パスワードの入力間違えがほとんどです。パスワードはあえて小文字・大文字・記号を混ぜているので,慎重に入力しないとうまくいきません。普段説明を聞かない生徒もうまくいかないときは真剣に聞きます。うまくいかない経験も大切だと思っています。 メールマナーのページを読んでも,自分の名前を名乗る,適宜改行を入れるの2点はすぐにできるようになりません。携帯メールの影響でしょうか。しかし,こちらからのメールを何通か見るうちに,理解できてくるようです。やりとりが進んだ最後のメールでは,この2点がきちんと守られたメールが多くなってきます。マナーは本来,まねをすることで形成されるものですから,何度もやりとりすることが良いようです。
先日,この内容の授業を授業見学として公開する機会がありました。参加された先生から改善点やアイディアを頂くことができ,大変有意義でした。 私の拙い実践ですが,できる限りWebで公開するようにしています。私の授業案を他の先生方に実践していただくことで,修正点・改善点がさらに見つかり,洗練されていくと思います。情報を発信することで得られるものが数多くあると思います。 さまざまな先生が実践を公開されることを期待しています。