ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.16 > p23

コンピュータ教育のバグ
交通ルールを守ろう!
─コンピュータ社会のマナーとルール─

 ドイツでは,使い捨てのカメラはあまり売れないという話を聞いたことがある。理由は,「使用後のリサイクルが難しいから」だそうだ。リサイクルできないモノは,消費者に受け入れられないなんて,なんとモラルの高い国民性なんだと感じてしまう。日本には「旅の恥はかき捨て」という諺がある。この言葉の真意は,旅に出たらしがらみは忘れて楽しもうということなのかもしれないが,海外旅行の時にモラルのない行動をする方々が,よくお使いになっている言葉であるというのも事実で…。

コンピュータ教育で指導すべきもの

 コンピュータ教育において指導しておかなければならないマナーやルールには,どのようなものがあるだろうか。いざ改めて考えてみると,これがどうも難しい問題であるということに気付く。マナーやルールとひと括りで言っても,そこには様々な守るべきマナーや知っておくべきルールがあるからである。ネットワークの匿名性を悪意を持って利用してはならないとか,知的所有権を侵害しないように気をつけるといった基本的なところから,共同利用しているマシンは勝手に環境を変えないなどという細かいところまで,思い浮かべてみても枚挙に暇がない。

 マナーやルールというものは,自分と他人に危害・迷惑が掛からないように配慮するという発想に基づくものである。例えば,これを大雑把に分類してみると,

○やってはいけないこと
 ・法律に触れたり他人に損害が及んだりすること
 <例>マシンを叩いてはいけない。
○使用上のルール
 ・マシンを使う上で守らなければならないこと
 <例>電源を入れてログオンする方法
○利用者としてのマナー
 ・大切に気持ちよく利用するために守らなければならないこと
 <例>飲食しながら使ってはいけない。
○自分自身を守るために
 ・被害者や加害者にならないために
 <例>個人情報をむやみに発信しない。等


というところであろうか。

どこまでの指事・指導が必要か
 例えば,よく道路に掲げられている標語に「交通ルールを守ろう」というのがある。まことに結構な金科玉条ではあるが,例えば歩行中に,あるいは車に乗っている時に,これを見たとして,よほど思い当たる節がある時以外は,具体的なアクションは思いつかない。むしろ,「信号を守ろう」,「スピード落とせ」などの具体的な指事の方が,わかりやすい。

 コンピュータ教育においても,ことマナーとルールについては,とりわけ細かい指示を行い,徹底させる必要があると思う。例えば,毎年度の最初に,授業でコンピュータを利用するクラスに徹底した上で,きちんと明文化して,配付するなどの配慮をしたいものである。

 コンピュータは使いこなしてこそのものである。しかし,マナーやルールを無視してただ使いこなしてスキルアップだけしているのでは,優秀なテクニックを持っているが,人の迷惑を顧みないドライバーを,多く世に送り出しているようなものではないのか。
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