本校は平成14年度から東大阪高等学校から敬愛女子高等学校に改称されたと同時にカリキュラムの変更を実施し,英語留学・英語進学・国際情報・介護福祉・総合選択の5つのコースを普通科に設置した。 文部科学省教育課程改定の1年先取りとして,本年度は「情報A」を普通科全クラス,「情報産業と社会」を国際情報コースで履修している。
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授業のねらい 「情報化と情報産業の発展が現代社会にどのように影響し,どのような変化をもたらしているか理解するとともに,情報に関する基礎的・基本的な知識を習得する。また,高度情報通信社会において,個人および産業人さらには国際人として幅広い視野をもって情報を適切かつ効果的に扱うことができる情報活用能力を身につけ,社会の発展に寄与する能力と態度を養う。」 授業の進め方 基本的には講義形式であるが,学習内容によってはノートパソコンを用いて自教室で実習・実験をおこなう。授業以外で質問事項があれば,ホームルーム用BBSに書き込むことによって,クラスのメンバーも確認できるようにして,情報共有を知識としてだけではなく実際に体験する。 学習上の留意点 「情報=コンピュータではない」ということをしっかりと認識し,高度情報通信社会における情報の収集・発信能力を身につけることはもとより,国際社会に生きる者としてのモラル・理解を深めるよう心がける。 (1)前期の授業 4月の授業内容 1.わたしたちの生活と情報。 2.社会の情報化 到達事項 ・高度情報通信社会を理解するために,「情報」の意義を正しく理解するとともに情報伝達の歴史を学習する ・情報化が社会生活に及ぼす影響と情報産業の発展と社会生活とのかかわりについて理解する。 実習事項 POSシステムについて,インターネットを利用して調べ,レポートの作成をおこなった。 5月の授業内容 1.情報伝達の変遷 2.産業構造の変遷 到達事項 ・身ぶり・手振り等から始まった人間の情報伝達が高度情報通信社会へと発展した歴史を学ぶ。 ・産業構造が情報化によって大きく変化している現状や,情報産業と社会とのかかわりについて理解し,今後のあり方について考える。 実習事項 産業構造の変化についてのレポート作成。各自でインターネットを利用して調べた内容をまとめて作成する。 6月の授業内容 1.情報化の進展 2.産業構造のあり方 3.新しい情報産業 4.情報社会におけるモラルと課題 到達事項 ・情報産業をささえるIT技術の進展を様々な側面からとらえる。 ・日本国内の産業の空洞化や海外流出の問題点を考える。 ・WebやE-mailにおける情報発信でのモラルや責任・課題を学習する。 実習事項 各個人に配布しているメールアカウントを用いて,実際にメール交換をおこなう。 国際情報コースのBBSに出した質問と解答を利用して,情報共有について学習する。 7月の授業内容 1.情報社会の課題 2.情報のセキュリティ管理 到達事項 ・VDT障害等の健康への影響について学ぶ。 ・インターネットは全体の管理者がいない開放的なネットワークであるということを理解した上で,障害・事故・犯罪からネットワークを守る方法を学ぶ。 実習事項 クラスを5つの班に分けて,セキュリティについて調べ,その結果を各班ごとにプレゼンテーションをおこなう。 ▲生徒への掲示画面 (2)夏休みまでのまとめ 本年度からスタートした科目であるため,はじめての試みとして,生徒によるプレゼンテーションを実施してみたが,準備にあてた時間数が少なく,各班それぞれ調べた内容がしっかりと自分のものになっていなかった面があった。 生徒の感想では,「もう一度やってみたい」という生徒が多かった。 プレゼンテーション用ソフトは,Microsoft社のPowerPointを用いた。文章入力はほとんどの生徒は問題なくできるため,ソフトの利用方法についての指導はほとんどおこなっていない。 次回プレゼンテーションの課題として,もう少しプレゼンテーションの技法そのものについての指導が必要である。 ノートパソコンを利用した普通教室での情報関係の授業も本年度はじめておこなったが,教室内で自由に移動でき,グループ学習にも効果的であった。教室内無線LANを用いているため,移動してもインターネットやファイルサーバに接続できる点でも授業はおこないやすかった。 ▲プレゼンテーション
高度情報通信社会の今,生徒を取り巻く「情報環境」も急激な変化をみせ,日常のメール送受信は,コンピュータを所持していなくても,携帯電話の普及により,あたりまえになっている。 インターネットを利用することによって,知りたい情報がすぐに集められるし,いつでも自らが情報発信者となれるようになった。 インターネットによって世界全体が大きなネットワークとなった今,一国だけの常識にとらわれず,世界の一員としてのモラルを持ち,異文化を理解する能力が必要である。 (1)国際情報コースの目指すもの ほとんどのコンピュータがネットワークに接続されて利用されている今,コンピュータネットワークに関する知識をもち,保守管理ができる程度の知識と技能を修得させるとともに,溢れるほどの情報の中から,必要で的確な情報を活用し,自らも情報を的確に表現でき,情報発信者となる能力を身につける。 (2)留意点 商業科でおこなってきた「情報処理」と新たに設置された「情報」でははっきりと内容の違うものである。 「情報処理」でおこなってきたワープロ・表計算ソフトの利用方法などソフトウェア利用技術やプログラミングに重点をおいた内容ではなく,これらを道具として活用する能力や態度の育成目指し,「情報=コンピュータ」ではなく,「コンピュータ」をひとつの情報を表現するための道具として,指導していくことが大切である。