情報教育はコンピュータやインターネットの操作方法を学ぶものではありません。これらのツールをどのように活用するかを学び,自分で考え,表現することにあります。しかし,自分で考えることができなかったり,表現したくても何を表現すればよいかわからないとなれば,何もできないことになります。そうならないためには基礎知識を身につけたうえで,与えられた情報から何を生み出せるか考える力を育てる必要があるのです。 インターネットはWebページやeメールといったこれまでにない圧倒的な力を持った新しい表現手段を持ち込みました。特にWebページは出版やテレビ放送のように時間や費用をかけなくても,世界の人々に向けて自己表現できます。 中学,高校で実施する情報教育ではWebページ制作やアニメーションソフトを使って表現する単元があります。ここで重要なことは,「何をどのように表現し,人にわかりやすく伝えるか」を考え,その方法を身につけさせることなのです。
今年の4月に登場した「Flash MX」はFlashのVer.6です。今後マクロメディア製品のDreamweaver,FireworksなどもMXとして登場します。さて,問題はバージョンアップして使いやすくなったかということです。教育現場の先生方には,予算の問題で一度購入したソフトはなかなかバージョンアップできない,と困っている人も多くいると思います。使い方が複雑になるばかりで,特にできることが変わらなければ古いバージョンのまま使いつづけるべきでしょう。 ただ,「Flash MX」には,強力なムービーサポートとActionScriptが強化されているのでずいぶんと使い勝手が良くなったと言えます。MPEG,DV(デジタルビデオ),QuickTime ムービー(MOV),AVIなどを含む,QuickTime PlayerやWindows Media Playerでサポートするすべての標準ビデオ形式を読み込むことができ,フルモーションのビデオをFlashコンテンツやアプリケーションに追加することができます。 ActionScriptはver.5から採用されたスクリプト機能で,高度なプログラミングが可能となりました。JavaScriptやCGIの感覚でスクリプトを記述すれば,時間や時計の表示などができます。そしてカーソルを追いかけたりオブジェクトの回転スピードを変えたり,インタラクティブ性を持たせたコンテンツが作成できます。 ▲参考になる事例が多数掲載されているマクロメディア社のWebサイト http://www.macromedia.com/jp
Webページの中身を記述しているのは単なるHTMLデータです。テキスト,画像,サウンド,ムービーなどそれぞれのパーツを組み合わせて表示させているに過ぎません。伝えたい情報をより確実にわかりやすく伝えるにはどのような表現方法が良いか判断し,その方法を決定します。文章で伝える場合はそのままテキストを入力します。動きをムービーで視覚的に伝えるとなれば,ムービーやアニメーションの編集方法を学ぶ必要があります。 Photoshopを使った画像処理は難しいから,Flashは操作が難しいから,と教師が決め付けてそれらのソフトを使うチャンスを奪ってしまえば,子どもたちの表現力は育たないままに終わってしまいます。まずは教師が子どもたちにどのような表現方法を身につけてほしいか目標をたて,そのために必要なソフトを導入し指導計画を立てることがスタートになります。 案ずるより産むが易し。さぁ悩んでいないで,まずは自分からチャレンジしてソフトを使って試してみましょう。きっと新しい授業のイメージが浮かんでくると思います。