ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.46 > p32

コンピュータ教育のバグ
いつまでも,置いておくのかい
—保存データの賞味期限—
 部屋がきれいに片付かない人,机をきちんと片付けられない人,片付け下手の共通点は,物を捨てたがらないという性格が原因という説があるとか。
 情報科の授業を何年も続けていると,毎年の年度末には,生徒たちが作成したデータが大量に残ってくる。年度末に一気に消してしまうのは,賞味期限が残っている食べ物を捨てるようでもったいない。では,このデータ,あなたは,いつになったら捨てますか?
とりあえず保存しておこうの集大成
 情報科でコンピュータ実習をしていると,ちょっとした文書でも,何らかのデータでも,「とりあえず保存しておきなさい」なんて,生徒に指示する場面は多々ある。ただ,そんな保存データの大半は,大したことのない代物で,二度と使わなかったりする。しかし,データ容量もほんの何キロバイトだったりするので,気にも留められず放置されているという感じだろう。
 さて,年度末を迎えて,一年間の授業が終わったところで,保存されているデータを見てみると,リムーバブルな媒体ならば,消去してまた使い回そうかとなるところだが,保存先が共有サーバーだったりすると,なんだか生徒がせっかく作った課題作品のデータもない交ぜだし,しばらくはそのまま残しておこうか,なんてことになって,フォルダごとどっかにまとめられたりして,さらに放置し続けられたりする。ちりも積もればで,そんなデータが何年分も溜まってくると,さすがに目に付くほどの容量になりかねない。さて,ここで一気にすべてをデリートできればよいのだが,やはり過去の生徒の作品はとっておきたいとか,見本データとして使いたいとか。片付けようと思うと,いちいち仕分けしなければならなかったりするのである。
永遠に保存する必要があるのか
 それならばいっそ,アットワンスのメディアに保存してしまって,記録メディアの耐久性が許す限り半永久的に保存してしまってもいい。しかし,生徒たちの個人情報や,著作権上問題のあるデータも含まれているかもしれない。保存する段階で,そこまで考えていないというのが正直なところだろう。CD-Rやら,DVD-Rやらに一旦焼いてしまえば,今度は処分したいときにまたひと手間かかることになる。いや,まだ自分で処分できる状態なら良いのだが,そのディスク自体をどこかにやってしまって,いつの日か誰かが発見して,中のデータを見てみたら大問題に,なんてことも引き起こしかねない。
 ということで,やはりちょっとした保存データといえども,普段から整理整頓が大切という結論になる。よく考えてみると,例えば生徒の作った作品データであれば,次年度以降にそのデータを使う場面というのは,作品見本として提示するくらいだろうか。ならば実際に使う際にデータを開いて見せる時間などから考えれば,何件くらいのデータが必要かおのずと明らかである。毎年,数件のデータだけ残しておけば十分ではないか。こうやって,普段からサーバーを整理しておけばいいのだ。しかし,自分の部屋や机ですら片付かないのに,ましてや実習室のサーバーの整理なんてできるわけが…。そんなあなたのパソコンのデスクトップは,きっとアイコンで埋め尽くされているのではないだろうか?
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