「小学校段階では,人格形成の基礎を築く段階であり,基礎的・基本的な内容を確実に習得すること,自己意識を育てて個性の芽を出すこと,そして集団生活の中で社会化を促進すること等がとりわけ重要である。したがって,情報教育やコンピュータ等の利用については,それらが正面に据えられるのではなく,小学校教育本来の目的達成に向けた学習活動の中で,ごく自然な形で取り入れ,日常化していくような道を探るべきであろう。すなわち,小学校では,コンピュータの仕組みや機能について理解させたり,コンピュータの操作そのものを目的にした指導を考えたりすることは,いささか時期尚早と考えられる。むしろ,コンピュータに触れ,慣れ,親しませることを第一のねらいにすべきである。」
「小学校では,各教科において,創作・表現活動,調べ学習,探究的な学習などにおいて,学習活動を豊かにする道具としてのコンピュータの活用を図りながら,コンピュータに慣れ親しませるようにしていくことが必要である。学校や地域の実態等に応じ,「総合的な学習の時間」を活用して,コンピュータに触れながら,どのように活用できるかを体験的に学習できるようにすることも意義のあることである。」
「なお,情報に関する教育の推進に当たっては,人間関係の希薄化や実体験の不足の招来など,情報化が児童生徒に与える「影」の部分に十分留意することが望まれる。」
「小学校段階から各教科等の学習内容や教科等の枠を越えた総合的な学習課題を題材として育成されることが望まれる。その際,徐々に教員主導から子供主体へという展開が重要であり,学校図書館やコンピュータ教室などを活用しながら,学習活動や活用する情報手段の範囲を広げたり,深めたりしていくことが望まれる。また,学校・学年段階が進むにつれて,ある共通の課題について個人あるいはグループ別に異なる方法で解決を行い,その結果を相互に比較することがより重要になる。」