1.なぜ広がらない?中学校の情報教育 |
IT活用が中学校にはなかなか浸透しないと聞く。文部科学省の実態調査でも,コンピュータを活用した授業ができる教師の割合は小学校72%に対して中学校は53%である。私自身も4年前に県の教育センターで1年間の研修を受けるまでは情報教育の言葉を聞いてもコンピュータ・スキルのことだとばかり思っていたくらいである。
時を同じくして,鳥取県では全ての教諭に対して情報教育レベル研修が行われていた。情報教育の基礎から始まり,情報発信やそれに伴ったスキル研修など個々のレベルに応じてとても丁寧に時間をかけて行われた。しかし,現在それが個人の力として定着し,授業に反映されているかというと疑わしいと言わざるを得ない状況だ。
そのような状況を生み出す背景にはいくつかの問題点が考えられる。
まず,情報教育の目的と教科の目的の両方を達成するためのカリキュラムを再編成する余裕がないということが挙げられる。私も研修が終わってからの次の1年間は情報教育という言葉を忘れてしまいそうになるほど日々の授業や生徒指導などに追われる毎日であった。
次に教科担任制の中学校では,例えば理科でITを活用した学習事例を紹介しても,それは教科に特化したものと解釈されがちであるということである。したがって校内研究会を開いても,教科の枠を越えて学校全体で授業づくりについての議論にはなりにくいのである。
先の文科省の調査結果に戻るが,中学校の教科別の活用状況によると,国語や体育,外国語などの授業での活用は理科や数学の場合と比べて低く,50%を割っている。コンピュータ・スキル自体はどの教科の教師も90%前後であるにも関わらずである。本校も以前は一部の教師のみのIT活用であったり,情報教育であったりした。
そのような中,昨年度(H16年度)の一年間で我が校のIT活用や情報教育への意識は格段に進歩した。特に研究指定も受けておらず,スキル的に卓越した職員は33名中わずか2名だけであった。
それでもIT活用や情報教育への理解が浸透していった要因は何か。それは校内の研究題目に情報教育を盛り込んだからである。校内研究には全職員が関わるので,否が応でもIT活用や情報教育について学ぶ機会があったからだと考える。
以降,本校の取り組みを紹介するが,これは他校でも実現可能な取り組みである。情報担当や学年リーダなどの役割が出てくるが,自身の学校では誰にあたるか考えながら読んでいただければよりイメージが鮮明になるだろう。 |
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