ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.21 > p28

コンピュータ教育のバグ
責任者出てこい!
−年度替わりを乗り切るための苦心惨憺−

 今年もまた,Jリーグやプロ野球などプロスポーツのシーズンがやってきた。毎年話題になることのひとつに,監督やコーチなどチームを指導するスタッフの人事異動によって,チームはどう変わったかというのがある。このように,人が変わればチームにとっては試合に臨む戦略ばかりではなく,日常生活のシステムや環境の整備面まで変更を余儀なくされる。

年度がかわれば人も替わる
 学校現場において,毎年大きな問題となるのは,新年度の始まる4月にどのような人的配置を行うかということである。分掌と教科。どの先生が校務でどの係を受け持つのか。担任は誰がどのクラスを担当するのか。そして,どの先生がどの科目を何単位担当するのか。さらに,学校によっては転勤や退職,新規採用などによる先生のメンバー変更の可能性もある。管理職だって替わるかもしれない。分掌と教科の主任も選ばなくてはならない。まぁ,それでもどうにかこうにか決定して,いざ4月の新学期を迎える。新年度,新しくなったメンバーで気分一新かんばろうということで,また一年が繰り返されていく。

 新年度の一学期初めには,生徒の方にもちょっとした混乱が起こる。A先生は担任,B先生は生徒指導,C先生は図書館の先生などという風にそれぞれの先生にイメージがあるものだから,新たにどこかのクラスの担任になった先生を進路指導室に探しに来る生徒が,けっこうな人数いたりする。そんな生徒には「四月だから先生もメンバーチェンジすんだよ」なんて言ってみたり…。ところで,人的配置の定まった直後,すなわち年度当初に,いくら綿密に計画を立てたところで,やはり年度の途中に齟齬をきたす場面もまま起こってくる。さまざまな場面において,「こんなはずではなかったんだけどなぁ」ということはよくある話だ。たとえば教科指導では,当然知っているだろうと思って授業計画では教える内容に入れていなかったことが,実は多くの生徒が全く知らなかったとか。いざコンピュータの実習を始めてみると,思ったよりも生徒の進度が速くてネタがなくなってしまったとか。
年度内ですら問題があるのだから
 こんな風に,四月当初から同じ年度内でも問題が発生するのだから,年度をまたがった計画などは,学校現場ではとても厄介な状況になる。例えば教科指導においては,担当として任されているのは,基本的に当該年度のクラスの指導であって,この学年の生徒たちを次年度の授業でどうしようという計画は立ててみたところで,なかなか実行に移すのが難しかったりする。また,担当している科目の来年度の授業についても同じことで,今年度,自分が担当してやりにくかったところがあるから改善しようと考えても,次年度の担当が再度自分に廻ってくるかどうかはわからないことが多い。これを例えば,情報科の実習の話として考えてみると,担当者が「どうもこのソフトでは使い慣れないので勝手が悪い」と考えて,次年度から別のソフトを使うように変更したが,担当が替わって次の先生は前のソフトの方が良かったとか。マシンの環境設定が良くないので変更したら,年度が替わって他の先生が使おうとしてもわからなくて困ったとか。責任者は誰なんだ,出てこい。と言いたくなってしまう。しかし,こんな場合の責任者は当該年度を担当している当の本人であったりする。
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