本校は今年度より文部省の研究開発指定を受け,新教科設置に向けて取り組んでいる。新教科設置とは,現行の指導要領では扱わないが将来的に社会の状況の変化等から必要になってくるであろう学習の内容について試行する取り組みである。これらは教科間選択の時間に,「ドラマ科」,「メディア・スタディ−ズ」,「国際交流」,「自分探しの心理学」として実践している。ここで紹介するのはもちろん「メディア・スタディ−ズ」であるが,これはイギリスのMedia Studiesをイメージしたものである。これから総合的な学習の時間の実践が定着するにつれてますます教科だけでなく,学校という枠までも越え,広く社会と接点をもった情報教育が求めれていくであろう。 本報告では,特に最新のMPEG4という動画システムをいち早く取り入れた実践例を紹介したい。ただ,MPEG4は今年5月に売り出されたところであり,本校においても実践はまだ始まったばかりの新しい領域である。 学校がめざす教育目標(グローバルマインドの育成)とどのように結びつければ,新しいメディア類がより有効に活用されるのであろうか。これは情報教育に携わる者にとって常に再検討されねばならない事項である。MPEG4の実践から今後予想される成果なども含めて,本校の情報教育の理念とその背景となる学校目標との連携について述べていきたい。
社会の状況から,これからすべての学校は開いていく方向,オプション度を高めていく方向に進めて行かざるを得ないであろう。特に本校の場合は,原点目標としての『国際学級』設立構想があり,さらに広く世界へと生徒たちの交流の幅を拡げていく。ただここで難しいのが,拡げていく程度とタイミングである。学校は急激に拡げすぎると収拾がつかなくなる。あくまでも生徒たちの反応を見ながら少しずつ拡げていくことが大切である。 その点でインターネット等の新しいメディア類の存在は大きい。例えば,海外の姉妹校との交流を考え場合,本当に人的に交流していくのがいいのは当たり前であるが,まずは,メディア類を用いてReal Timeの情報でReal Timeの交流ではあるが,修正の場が保障されるネット上のバーチャルな交流で様子を見るのである。このように本校では,様々な新しい試みをメディア類の活用することによって,徐々に学校が開く方向に進んでこれたのだと思う。 新教科「メディア・スタディ−ズ」の趣旨もそこになる。1年生で基礎技能を習得し,2年生で一部バーチャルな交流をネット上で行い,3年生で実際の人的な交流を含んだ共同学習に取り組むのである。動画(MPEG4)は,バーチャルな交流という視点からみると最も現実に近い形でネット上で交流ができる。Real Timeの交流という点ではテレビ会議も効果的であるが,これは個人のレベルで行えるものではない。MPEG4は個人のメール交換に添付できる点有利である。 今回の実践は,動画(MPEG4)を用いた効果的なホームページづくりが中心であったが,2学期にはメールの一部としてのMPEG4の効果的な在り方について試行した実践に取り組んでいく。