線を面にするのが「人」である。 ネットワークは多大なマンパワーを必要とする。「人と人とをつなぐ」のだから当たり前である。せっかくのインターネット環境が十分利用されていない学校は,コーディネータとしての資質や経験を持った人材が極めて限られているのである。 教科の研究会の視察研修のための情報をさがしている社会科教員にWebの検索エンジンを使ってもらう。英語科教員にはCNNのWebページなどを紹介する。出張しようという教員にはWebでの経路検索や地図検索を紹介する。学校行事で必要になるBGMなどはMidiサイトをあさればたいてい入手できる。語学研修の引率でオーストラリアへ語学引率へ出かけた先生には電子メールで連絡を取りながらデジカメ画像や現地レポートを送ってもらう。若手のALT(語学指導助手)は環境さえ用意してあげれば,勝手に使い倒してくれる。あらゆる機会をつかまえて利用してもらえるようサポートをするのである。 個人でノートパソコンを所持する教員も増えている。「職員室のプリンタが机の上から使えます,ついでにインターネットにもつなげますよ」と耳打ちすれば,たいていLANカードを購入してしまう。 次のステージとしては,著作権をはじめとしての情報倫理についてや教育事例についての研修が必要であると考えられるが,職員研修を開いて組織的に行って行くべきであろう。 このような活動を日常から支援していけるコーディネータ役があってこそ線が面になるのである。 ちなみに本校での利用状況であるが,10名弱の教員で1日平均3時間あまり,月にすると70時間以上使う。現在の本校の契約(地方なのでプロバイダを選べない)では,月に100時間前後使うなら専用線の方が安い。情報科でプロジェクトを取り入れるのであれば,やはり専用線環境が学校にはぜひ必要であろう。
バブル崩壊後,年功序列を基本とする日本の企業のシステムが生き残りをかけて大きく変わりつつある。日本の教育もシステムからの根本的な変化を問われるに違いないし,このままでは生き残れないのではないかと危惧している。 このようないわば草の根のようなやり方が正しいとは思わないし,学校のサーバの管理をすることが教師の本分ではないはずである。 全国の4万校の学校でネットワークを有効に使っていくためには,適切な環境と共に適切な能力と経験をもったコーディネータとしての人材の養成がぜひ必要である。 時間もかかることであるが,それは電波の中からETの文明の痕跡をさがすよりははるかにたやすい事に違いない。