中学校における情報教育のねらいや目標については,「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議」の最終報告より読み取ることができる。その具体的な展開として「中学校については,技術・家庭科の技術領域において,コンピュータの基本的な構成と操作,コンピュータの利用など情報に関する基礎的内容を必修とし,発展的内容は,生徒の興味・関心等に応じて選択的に履修させることとしている。」とされている。 その背景については,「生きる力」という言葉で有名な,第15期中央教育審議会「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第1次答申)」で述べられており,再びここで論じるまでもないが,私たちを取り巻くメディア環境の変化が挙げられる。特に,インターネットに代表されるネットワーク環境はここ数年で大きく進歩・発展し,私たちの生活と密接な関係を持つまでになった。そして,メディアの多様化は,児童生徒の生活に大きな影響を与えるようになった。 このような急激な変化に教育現場が対応できるように,政府や文部科学省は,バーチャルエージェンシーやミレニアムプロジェクトなど学校の情報化と情報教育の重要性を強調し,積極的に取り組む姿勢を見せている。そして,今年度より完全実施された学習指導要領では,技術・家庭科は内容において大きく再構成された。これまでは,全11領域から構成されていたものが「技術」と「家庭」の2つの分野に分かれ,さらに技術分野では現行の6領域から「技術とものづくり」と「情報とコンピュータ」の2つに集約され,「情報基礎」領域は大きく拡大し,選択から必修となった。 筆者は,技術・家庭科において,移行措置期間より今年度の完全実施に向けて,3年間を見通した全体的な指導計画を立て,実践を行ってきた。 ここでは,特に「情報とコンピュータ」における実践と経過を報告する。
技術分野
・A(1)生活や産業の中で果たしている役割 ・A(2)製作品の設計 ・A(3)製作品に使用する工具や機器の使用方法 及びそれらによる加工技術 ・A(4)機器の仕組み及び保守 ・B(1)生活や社会の中で果たしている役割 ・B(2)コンピュータの基本的な構成と機能 ・B(3)コンピュータの利用 ・B(4)情報通信とネットワーク
・A(1)生活や産業の中で果たしている役割 ・A(2)製作品の設計 ・A(3)製作品に使用する工具や機器の使用方法 及びそれらによる加工技術 ・A(4)機器の仕組み及び保守 ・A(5)エネルギー変換を利用した製作品の製作 ・B(3)コンピュータの利用 ・B(4)情報通信とネットワーク ・B(5)マルチメディアの活用
・B(4)情報通信とネットワーク ・B(5)マルチメディアの活用
・情報発信の目的 ・リンク構造と情報 ・インターネットのしくみ ・情報発信と安全 ・電子メールによる意見交換(校内・校外) ・情報化社会と自己責任 ・ネットワーク社会の功罪 (ネチケットに関する学習内容を含む。)
【意識変化の把握】 会議室を使っての公開制記述形式で実施 「ネットワークを使って顔の見えない人と文字だけでコミュニケーションをとる場合, どのような点に気をつけなければならないと思うか?」等の質問を学習前と学習後に実施。