本校では,「100校プロジェクト」の「自主企画」として1997年度から1998年度にかけて「学校を越えたネットワーク・コミュニケーションの試み ─オンラインディベート─」を実施した。 これは,本校が女子校であることから,どうしても狭くなりがちな生徒の視野を広げるために,「家庭科」と「倫理」の授業の一環として男子校や公立校との高校生との意見交換をはかるために企画された。 この種の企画を実施するためには,まず一番の問題は相手校を探すことにあるだろう。相手校も同じようにインターネットにつながれていて,しかも生徒もこれを使いこなせるようになっていなければならない。そのような環境を整備している高校はまだ限られているので,相手校を探すのが,なかなか困難であった。 そのために有効だったのが,「100校」の教員同士のネットワークであった。「100校」のメーリングリストを通じてディベートをしませんかと呼びかけたところ,仙台の私立の男子校である東北学院高校が先ず呼びかけに応えてくれた。更に東北学院の誘いで宮城県立泉高校,福島県立盲学校が加わり,松山の東雲高校,今年になって岐阜県立海津北高校,金沢大学附属高校が加わった。 これは,メールによって,立論,質問と回答,駁論を相互に送って意見を応酬するという方法が採られた。また,相互に可能ならば,同時にインターネットにつなげてチャットによるリアルタイムで討論をすることも試みた。 テーマは家庭科や倫理の授業と関連したものを含み,以下のようなものを選んだ。 第一回 「茶髪,ピアス,ルーズソックス等のファッションは高校生らしい文化である」 第二回 「日本の教育に,飛び級制度・飛び級選抜制度(例えば高2→大学)を導入すべし」 第三回 「大学生での妊娠,産むほうがよいか,産まないほうがよいか。」 第四回 「会ったことのない人間同士であっても,文字だけのコミュニケーションで理解し合うことが可能である」 第五回 清泉,東北学院,金沢大学附属,海津北高校など44チーム22ラウンドで実施。 1)将来,結婚するとして,結婚後,夫婦同性,別姓どちらがよい? 2)離婚における破綻主義は認められる。 3)高齢者となった親と同居したほうがよいか。 4)大学生での妊娠,産むほうがよいか,産まないほうがよいか。 5)子供が産まれた!それまで夫婦ともフルタイムで働いてきた。この場合,妻は,仕事を続けるべきか 第6回目としてこの2月にはオフラインの集まりが行われ,そこではインターネットを使った情報収集に基づき,「地域振興券は景気回復につながるか」というテーマで口頭によるディベートを行い,オンラインディベートとの比較について話し合った。 「100校プロジェクト」を終えてもこのような学校を越えたディベートの場がインターネット上で常置されるよう検討中である。