ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.8 > p24

コンピュータ教育のバグ
窓際族とでもしておくか
−コンピュータ関連用語と登録商標−

 去年,流行した「ボーイフレンド」という曲がある。とてもヒットしたので紅白に出演!というところで,問題発生。NHKは公共放送だから,歌詞にあるテトラポットが特定の製品を指すものだということで,放送できないという話になった。同じように,ホッチキスやポケベルなども,基本的に放送ではダメなのだそうだ。NHKさん,なんとお堅いことを,と思っていたら,紅白ではしっかりテトラポットと唄っていた。どうやら,正式名はテトラポッドで,一字違いでセーフだったようだ。ところで,授業に目を転じてみると,ここにも,似たような言葉の問題が…

ウインドウズはウインドウズでいいのか
 今までのコンピュータ教育においても,OSやソフトウエア・ハードウエアの製品名,いわゆる登録商標について,授業で生徒たちを前にした時に,どう扱ってどう説明するかというのは,頭の痛い問題であった。もちろん教科書では,特定のメーカーの製品を明確に指し示すような記述は見られない。しかし,実際問題として,実習で使うコンピュータ本体のメーカーやOSの種類を生徒に隠しておくということなど出来るはずもなく,指導する先生も,授業ではマックだウインだとはっきり口に出している。さらに近年,資格試験の一部で特定のソフト等を使うスキルを,検定するものまであらわれてきた。あるいは,情報処理関連の授業で扱う実習用の副読本などは,ハッキリと使用ソフト名が明示されている物も多い。

  現実社会の情勢を知ることと,学校教育の公共性を維持することの狭間で,この問題はどう解決されるべきなのであろうか。たとえば,高校生を主な対象として実施されている表計算ソフトを扱う検定試験では,特定のソフトを指定していないので,一般によく使われている複数のソフト全てで,再現可能なワークシートを試験問題として出題しなければならない。しかし,そうしたところで,エクセルとか1−2−3とかいった表計算ソフトは,それぞれに特徴を持っているので,操作性などの問題で,ある特定のソフトを使った方が実技試験が有利だなんてことになったりもする。

  検定試験に限ったことでなく,普段のコンピュータ関係の授業でも,関連用語などを解説するときにはやっかいだ。たとえば,OSについてレクチャーするとして,果たしてウインドウズというOSを,ウインドウズとして説明していいものかどうか。かといってOSの例を示すとして,ウインドウズを除外してしまうのも,またいかがなものか。
ホームページはホームページでいいのか
 用語の問題でいえばもう一つ,グローバルスタンダードでない言い回しが,日本で一般化してしまっている場合,あるいは,正しくない和製英語が,一般化している場合の扱いも難しいところだ。例えば,ホームページ。本来は,最初のページ・元になるページという意から,ブラウザを起動させてインターネットにつないだときに最初に表示されるページのことなどを示す語だ。しかし日本では,個人や企業が自分たちの作ったページを総称してホームページという。正しくはウェブページと言うべきなのではないかという議論も,以前からあったりする。ただ,これだけ一般化してしまったホームページという言い回しを,そう簡単に変えられるものでもないと思う。

  では,もうこの際,カタカナを使わずに,全部漢字にしてしまいましょうか。ホームページは私有物,ポケットベルは通信箱,ついでにウインドウズは窓際族とでもしておきましょう。
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