ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.25 > p32

コンピュータ教育のバグ
美しきソナタ?
−プレゼンテーションをどう教えるか−
 最近は「韓流(はんりゅう)」ブームなんだとか。ここのところ,いろいろな韓国のドラマが日本のテレビで放映されているところをみると,このブームかなりなモノらしい。そもそも,その韓流という言葉は,流行に敏感な台湾の人たちが言い出した語のようである。してみると,一昔前までは日本のドラマが台湾で大人気だったのが,韓国のそれに取って代わられているのではないかとも考えられる。しかもこの韓流ブームは,ベトナムやタイをはじめアジア全域にひろがっているらしい。


ソナタについて,ふと考えてみた
 そんな韓流ブームの日本での実質上の火付け役となったのは,NHKが放送したドラマ「冬のソナタ」だったと言っていいだろう。省略好きの日本
人は「冬ソナ」なんて言ってもてはやしている。なんで「ソナタ」なんだろうかと思って少し調べてみたら,韓国での原題の意は「冬の恋歌」なのだそうだ。ソナタは,日本題でのアレンジのようで,その由来は,何かドラマのストーリーの中にありそうだ。

  それはさておき,ソナタというのは,ご存じの通りクラッシック音楽なんかの形式の一つである。時代によってソナタという語の示す意味合いは異なるが,よく使われるソナタ形式というのは,主題の提示・展開・再現の三部または,この後に終結部を付けた四部の構成を指している。これ以上の音楽的な解説は他に譲るとして,ここまでソナタ形式ということを思いめぐらせてみてハタと気が付いた。この構成はプレゼンテーションのそれと似通っているのではないか。音楽もプレゼンテーションもある種のパフォーマンスだということからして,これは至極当然のことではある。


プレゼンをどのように教えているか
  ところで,コンピュータ教育の中でも最近ブームというか,その一種とらえどころのなさから,様々な実践プランが言われているのがプレゼンテーションに関する実習である。プレゼンテーションは大きなプロジェクトの後半部分のヤマとなる取り組みになる場合が多い。いきおい指導者の方も熱が入るのだが,本当の意味での生徒の主体的な情報活用能力を育むプレゼンテーション指導というのが意外と難しいとも感じられる。

  生徒がプレゼンテーションのプロットづくりに悩んでいるときに,内容に盛り込むべきことや書いている原稿の中身に手を入れてやるよりも,構成についてのアドバイスの方がより有効な気がする。そこで,このソナタ形式を当てはめてみるというのはどうだろう。「まずあなたのプレゼンのテーマは何?何が伝えたいの?それを最初に提示してから話を展開して,もう一度最後に主題は何なのかを,わかりやすくまとめて伝えればいいのだよ。」と言えば,なんだかしっくりくる。

  プレゼンテーションの指導ではどうしても,読み原稿の一字一句の修正や,発表時の姿勢や発声なんてところにチェックが入りがちだ。しかし,本質的な部分というのは,自ら調べてまとめたモノを,プレゼンテーションでうまく相手に伝えることである。くどいようだが,このあたりを何らかの方法でわかりやすく示してやるのは,プレゼンテーションの指導の一つのポイントではないかと思うのだが,いかがだろうか。「そんなことは,ソナタに言われずともわかっておる」と言われそうではあるが…。
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