ブックタイトル平成30年度版 高校美術 内容解説資料(表紙作品・作家紹介)
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平成30年度版 高校美術 内容解説資料(表紙作品・作家紹介)
「高校生の美術2」の表紙には、現代美術家である塩田千春さんが制作した「掌の鍵」という作品を大きく掲載しています。これは鍵、糸、舟などを空間に配置したインスタレーションで、個人の記憶や人と人とのつながりをテーマにした作品です。制作にあたって、塩田さんがどのように発想し、イメージを膨らませていったのか伺いました。―言葉より先に「絵」があった 小さいころから絵を描くことが好きでした。幼稚園のときに描いた絵がまだ実家に残っているんですが、自分の名前すら満足に書けないころから、絵を描いているんですよ。人は文字を書く前から絵を描けるんですね。 具体的に美術に関わる仕事がしたいと思い始めたのは小学校高学年~中学生のころだと思います。自分はマテリアルの世界ではなく、もっと精神的な世界に行きたいと考えていました。そこで高校は大阪府立港南造形高等学校へ行こうとねらいを定め、明確に美術へと舵を切りました。無事入学したあとは、油絵ばかり描いていましたね。―絵画からインスタレーションへ 大学では洋画科に進みましたが、1年次の早い段階で絵が描けなくなってしまいました。ただ描くことはできるんですが、理論で描いているんですね。画面を赤で塗ったら、ここに補色の緑を入れようとか、ついつい頭で描いてしまう。描いても誰かの絵になってしまって、自分を表現できない。そこから半年ぐらい描けなくなりました。 どうして私は描くのか、どうして私は表現したいのか、そう考えるうちに、絵画以外の表現手段にも目が向くようになりました。何かを得ようと大阪の国立民族学博物館に足しげく通う中、生活とアートが寄り添う世界各地の意匠や、お祭りの仮面などに興味をもつようになりました。 自分でもつくってみたいと、ようやく創作意欲が湧いて、紙で仮面をつくり始めました。2週間でつくった数は600個ほど。その仮面を、ざーっと並べてみたんですね。思えばそれが最初のインスタレーションでした。自分を表現する手段として、インスタレーションという方法があったのだと気が付いたのは、まさにそのときだったと思います。高校生の美術2表紙:掌の鍵[古い鍵・糸・古い木船] 2015ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展での展示[イタリア]撮影:サニー・マンク第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の日本館にて。鍵、赤い糸、2艘そうの舟で構成されるインスタレーション空間と、鍵を乗せた子どもの掌の写真、生まれる前と生まれた直後の記憶を語る子どもの映像作品「どうやってこの世にやってきたの?」を組み合わせて構成されている。鍵のかかった部屋[鍵・毛糸・扉]2016KAAT神奈川芸術劇場での展示[神奈川県]撮影:(左)高橋和海/(右)西野正将掌の鍵を再構成した作品。帰国記念展。P37 | 身近な材料で表す:DNAからの対話[靴・毛糸・紙] 2004日本美術技術センターでの展示[ポーランド]撮影:サニー・マンク掌の鍵における2艘の舟は、鍵が象徴する記憶を受け止める掌を表している。撮影:サニー・マンク