日本文教出版 社会と情報(社情306) 教科書テキストデータ ---------------------------------------------------------------- 第1章 情報の活用と表現 ---------------------------------------------------------------- 【p22】 2.メディアとは  メディアという言葉は聞き慣れた言葉であるが,実はさまざまな意味で使われている。ここでは,“メディア”という言葉について整理しておこう。“メディア”は二つのものの間を媒介(仲介)するという意味をもつ。そこから,コミュニケーションにおいて,情報を仲介するものを意味するようになった。  コミュニケーションは送り手から受け手にメッセージを届ける活動である。メッセージを受け手に届けるためには,相手が理解できる声や文字などの形で表現しなければならない。ここではメディアの機能を理解するために,情報を伝えるための形(表現メディア)と,それを伝える電話や手紙など(伝達メディア)に分けて考えてみよう。 ○表現メディア  表現メディアは人間の感覚を利用している。文字や画像,手話などは視覚,音は聴覚,握手は触覚を利用した表現である。また,複数の表現メディアを組み合わせて使うことも多い。たとえば映画は動画と音で視覚と聴覚を同時に刺激している。それぞれの表現メディアの特性を理解し,メッセージの内容や目的によって表現メディアを使い分けることで,効果的なコミュニケーションを行うことができる。 (表現メディア) メッセージ 意見 知識 アイディア 気持ち イメージ <表現> 文字:手紙,電子メール 身体動作:握手,身振り・手振り 画像:絵,写真 動画:テレビ番組 音:演奏,語り 【p23】 ○伝達メディア  伝達メディアはメッセージを運ぶ役割を担う。たとえば,郵便,電話,新聞,ラジオ,テレビやインターネットなどがメッセージを運ぶ道具として使われる。伝達メディアの種類によってメッセージを伝えるためにかかるコストや時間,範囲などが異なるため,目的に合った伝達メディアを選択する必要がある。たとえば,重要な連絡であれば電子メールよりも確実に確認がとれる電話の利用を優先することもある。  伝達メディアはその特性から運ぶことができる表現メディアが限られる。電話は音声を送れるが,文字はメールで送るほうが確実である。手紙は文字や画像を運ぶことはできても音声や動画は運べない。コミュニケーションの目的に合わせて表現メディアと伝達メディアを選ぶようにしよう。 (伝達メディア) テレビ局→電波塔→(電波)→テレビ 電話→(電話回線)→携帯電話 メール送信→(インターネット)→メール受信 コラム 記録メディア  情報を記録しておくために使っているフラッシュメモリやCD,DVD,ハードディスクなどを記録メディアという。記録メディアは,古くは石板や粘土板,木や竹の板,動物の皮などからはじまりさまざまなものが使われてきた。記録メディアはそれを運ぶことで遠くまで情報を伝えたり,保管することで後世に情報を伝えたりする役割をはたしている。  現在のコンピュータ機器で使用する記録メディアには記録できる容量が示されているので用途に合わせて選ぼう。また,どのような記録メディアも永久にデータを保存できるわけではないので,バックアップをとっておくことが大切である。 ※脚注 (1)記録メディアも情報を伝えるために用いれば伝達メディアの一種であるということができる。 (2)記録できる容量はバイト(B)(→p.36)という単位であらわされる。