ブックタイトル小学校社会科3・4年生用 副読本作成の手引〔新訂版〕

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概要

小学校社会科3・4年生用 副読本作成の手引〔新訂版〕

7新旧の学習指導要領を対比してみると,大幅な改善が加えられている。 これまでは第3・4学年の内容が一つにまとめて示されていた。これに対して新学習指導要領では第3・4学年の内容を二つに分けて示し,第3学年で“市を中心とする地域社会の内容”を,第4学年で“県を中心とする地域社会の内容”を,それぞれ取り上げるように改善が加えられている。学年進行に応じて,段階的に資質・能力を育成するためである。 この改善による授業づくりの課題は大きく二つある。◆3年で市を,4年で県を中心に学ぶ その一つが,第3学年で自分たちの市を中心とした地域の,第4学年で自分たちの県を中心とした地域の社会生活を,それぞれ総合的に理解できるように留意することである。 特に注意が必要なのは第4学年の事例選びである。これまでと同様に子どもにとって魅力的か,見学などの体験的な活動が可能か等の観点に加えて,“自分の県に対する理解を深める上で適切か”ということにも留意し,広く県全体を見渡して最適な事例を選定する必要がある。◆指導時数の配分をめぐる課題 いま一つが,第3学年の各内容に,それぞれどれだけの時間をかけて指導するかという指導時数の配分をめぐる課題である。 これまで多くの学校や教科書では,第3学年に三つの内容を充てていた。その多くは,「(1)身近な地域や市の様子と(2)地域の生産や販売の仕事と(4)地域の安全を守る働き」または「(1)身近な地域や市の様子と(2)地域の生産や販売の仕事と(5)地域の古い道具,文化財や年中行事」のいずれかのパターンである。 これに対して,新学習指導要領ではこれまでと同じ70 時間で四つの内容を扱うことになる。つまり,総時数は同じだが指導内容が一つ増えているのである。 それを踏まえ,内容(1)「身近な地域や市の様子」と(3)「地域の安全を守る働き」の取扱いの中に次の配慮事項が盛り込まれている。 つまり,内容(1)と(3)においては,上記の配慮や工夫により,時数を縮減して指導することが新たに求められているのである。 また,各内容を従前と比べてみると,大幅な改善が加えられているのは第3学年の内容(4)「市の様子の移り変わり」と第4学年の内容(3)「自然災害から人々を守る活動」である。新たな教材や単元の開発が急務である。2.新学習指導要領による地域学習のあり方(1) 地域学習の二つのねらい 地域学習には,「地域を学ぶ」と「地域で学ぶ」という二つのねらいがある。新学習指導要領においても,このことに留意することが大切である。■「地域を学ぶ」とは… 人々の生活舞台となっている地域の社会生活を学習対象とし,“地域の社会生活を支えている人々の知恵や汗(工夫・努力),協力関係など,地域の社会生活に見られる人々の働きや様々なかかわりを学ぶ”ということを意味している。■「地域で学ぶ」とは… 社会科の学び方の基盤となる諸能力を学ぶ場として地域をとらえ,子どもが見学や調査などにより「地域のもの,人,こと」と直接かかわって学ぶことを通して,諸能力の基礎を獲得していくことを意味している。○内容(1)については,「自分たちの市」に重点を置くよう配慮する。○内容(3)については,火災と事故(消防と警察)の両方で「緊急時への対処」と「未然の防止」を取り上げるが,どちらか一方に重点を置くなど効果的な指導を工夫する。