ブックタイトル小学校社会科3・4年生用 副読本作成の手引〔新訂版〕

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概要

小学校社会科3・4年生用 副読本作成の手引〔新訂版〕

8 新学習指導要領による『地域学習』のあり方 これら「地域を学ぶ」と「地域で学ぶ」を両輪とした地域学習を豊かに展開して,次の資質・能力を育成していくのである。 これからの地域学習においてはこの2つのねらいを常に念頭に置いて,地域素材の発掘と教材化,授業づくりなどを進めていくことが大切である。 また,副読本の作成に当たっては,まず,「地域を学ぶ」という視点から学習の対象となる地域事例を選定し,素材の発掘と教材化を進める。さらに「地域で学ぶ」という視点を盛り込んだ単元の構想や指導計画を作成し,紙面化していくことが考えられる。(2) 地域素材の発掘と教材化のポイント それでは「地域を学ぶ」学習では,子どもが学習の対象である地域の社会生活から何を学びとれるようにしたらよいのだろうか。 小学校の社会科では,子どもを取り巻く社会生活を総合的に学ぶことを通して,平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を育成することをねらいとしている。 この社会科のねらいを踏まえ,地域の人々がさまざまな願いをもち,その願いをよりよく実現していくために,人々が相互にさまざまなかかわりをもちながら工夫・努力し,互いに協力し合って地域の社会生活を支えていることを,地域の具体的事例から学び取れるようにすることが大切である。そうした学習を通して,子どもが自分も地域社会の一員であるという自覚と責任,地域や共に生きる人々に対する誇りと愛情をもつようにするのである。 そのことを踏まえ,地域素材の発掘や教材化に当たっては,自分たちの「地域社会を支えている人間」にスポットを当て,人々が知恵や汗を出し合うなど互いに協力し合う姿が見えてくる学習の素材を発掘し,教材化を進めていくことが大切である。(3) 地域学習の授業づくりのポイント 「地域で学ぶ」学習では,子どもがどのように学んでいけば,ここで期待する資質・能力を身につけることができるのだろうか。 ここで目指す学びの姿は,子ども一人一人が「わたしの問題」をもち,その問題の追究・解決に向けて,自分の体と頭を使って学び,共に学ぶ仲間と互いの考えを交流し吟味し合う“協働思考を伴う問題解決学習”である。その授業づくりのポイントは,次に示す六つである。◆「わたしの問題」をもてるようにする 一つ目のポイントは,地域の社会的事象と子どもたちとの出会いを工夫し,子どもの“知的興奮や知的好奇心”を高めること,それを通して,個々の子どもが「わたしの問題」をもてるようにすることである。 なお,ここでいう「知的興奮」とは,子どもが心の底から「おもしろい!」「すごい!」と感じる素朴な気持ちであり,今までつい見過ごしていたことに気づき,まったく知らなかったことを知るときに味わう喜びのことである。また,「知的好奇心」とは,心の底から「不思議だ!」「いったいどうなっているの?」「それはなぜ?」「なぜそこまでやるの?」などと感じる気持ちである。それは,子どもがそれまでもっていた常識的な考え(見方)や経験に基づく直観だけでは説明がつかない不思議な世界(現象や人々の営み)に足を踏み入れることによって味わう心の動〇位置関係などをとらえる技能,施設や道具,働く人の服装や仕事ぶり,表情などをありのままに観察する技能,物やこと,人々の仕事ぶりなどについて問いかけ,自分の見方で解釈・意味付けしたり,比較・関連・総合して見たり考えたり表現したりする力などの諸能力の基礎。〇地域の社会生活に対する理解,それに基づいてよりよい地域社会を考え学習したことを社会生活に生かそうとする態度,地域社会に対する誇りと愛情,地域社会の一員としての自覚。