ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

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概要

成長する先生のための指導のABC

おわりにこの本には「あのね」と,そっと教えたくなる話を載せました。これまで先生として歩んできた道すがらに,教えていただいたこと,拾い上げたもの,自らの失敗から学んだ話です。「ふりむけばお世話になった人ばかり」ではありませんが,多くの人との出会いが,いまの自分をつくり上げてくれたことを感じています。人の成長をとめることはできません。わたしもまた,みなさんと同じ気持ちで,これからも成長したいと考えています。大村はまは,「研究する,研修するということには,何か高いものを求めるからでしょう。何か高めたいという気持ちがあって,自分の成長を願うからこそ,そういう行動になるのでしょう。自分を見つめたり,自分の至らないところを伸ばそうとしたり,それから高いものに憧れたり,一歩でも前進しようとするということ,それはそのまま少年という育ちざかりの人たちのもった自然の姿なのです。」*1)と述べています。これらの言葉からは,「先生」として内在する姿を読み解くことができます。わたしたちは「先生」としての生き方を自問し,ときにあがき苦しみ,子どもの喜びや悲しみに一喜一憂する時間を共有しながら「わたしの履歴」を築いているのです。いま,「普通を教えること」が難しくなっている時代です。*2)その「普通」を学校が守っているように思います。「普通を教える」ことが難しければ,「普通を見せる」「普通のことを繰り返す」など,「普通」を自然のままに感じさせる指導や先生が求められているように思います。3・11の大震災で,多くの尊い命が奪われました。その犠牲になった方々は,わたしたちに何気ない日常の営みの「普通の生活」がいかにかけがえのないものであったかを教えてくれました。みなさんの「普通」は,両親をはじめ,兄弟姉妹,祖父母,友人などとのいつもの何気ない営みによって築かれているのです。この「普通」は宝物なのです。どうぞ,自信をもって「普通」を子どもたちに伝えてください。いまは,テレビから流れてきたこんな言葉が心に染みます。「昨日と同じ今日を感謝し,今日と同じ明日を願う」*1)大村はま『新編教えるということ』筑摩書房ちくま学芸文庫1996*2)鷲田清一『普通をだれも教えてくれない』潮出版社1998北海道教育大学岩見沢校阿部宏行abe.hiroyuki@i.hokkyodai.ac.jp発行日平成25年4月30日ABCの第一弾平成24年4月発行1954年生まれ。北海道教育大学岩見沢校准教授。評価規準,評価方法等の研究開発に関する検討委員会(小学校図画工作)委員,学習指導要領の改善等に関する調査研究(小学校図画工作)協力者などを歴任。主著:『図画工作の指導と評価』(東洋館出版社,共著),『観点別学習状況の評価規準と判定基準(小学校図画工作)』(図書文化社,共著),『私がつくる図画工作の授業』(日本文教出版,共著)48