ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

ページ
49/52

このページは 成長する先生のための指導のABC の電子ブックに掲載されている49ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

成長する先生のための指導のABC

44「おかげさま」でわたしたちは,子どもに願いや期待をもって臨んでいます。しかし,願いや期待が思うようにならないと,「願い」を通り越して「要求」に変わります。はじめは子どもに1「こうあってほしい」というような願いの段階から,2「こうなってほしい」3「こうしてほしい」4「こうあるべきだ」5「こうなるはずだ」6「こうあらねばならない」と,その度合がだんだん狭まり,大人中心になっていく意識構造があります。その構造の中には,子どもに対する期待感が「他の子どもに比べて…」というように,子どもを比較する,それも,「勉強」など単一のことで見つめてしまうところがあるようです。どうしても危機感に迫られて細かなことばかりが目立って「同じようにしなければ…」というように,常に「~ねばならない」というマイナス面を補おうとする意識が働くようになります。子どもにはそれぞれ個性があり,発達にも個人差があるとわかっていてもです。このように子どもに「~ねばならない」「こうしなさい」という意識で指導すると,子どももそのことを察知して,「~したら何くれる?」「してあげるから,ぼくのいうことも聞いて!」というように,権利を主張したり損得勘定でものごとを判断しようとしたりします。また,心の奥底に「不満」や「自己否定」の思いを溜め込んでしまいます。日本の伝統的な考え方には『みなのおかげで育つ』教育観があります。権利や義務といったことより,信頼感という,相互の思いやりや補い合いの中で育つ考え方を中核とする教育観です。つまり,人と人がともに生きる意味や人格形成は,直接的には見えない人々の上に成り立っているという思いやり(互いの立場を理解する)の世界でものごとが営まれているのという考え方です。子どもには,その世界を様々な経験を通して学ばせたいのと思うのです。かげさて,「おかげさまで」は,見えないところで働く「蔭」の力に感謝し,畏敬を込めて「お」と「さま」かげをつけて使う言葉です。「成長」や「成功の蔭」で働く人たちへの感謝の心から世の中を見つめてみると,多くの人たちが,いまも,いままでも,そして,これからも存在していることに気がつきます。あなたをこれまで育ててくれたのは,「おかげさま」なのです。4先生って感謝の気持ち「おかげさま」を誰に伝えますか?「大すき」といえる関係づくりを心がけましょう。47