ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

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概要

成長する先生のための指導のABC

40身につくということ自転車に乗ることができるようになったのは,いつですか。はじめは自転車を支えられ,何度も転んだあとに,やっと乗ることができるようになったのではないでしょうか。これは,身体に身についた記憶(習慣的記憶)といえます。一方で,言語と結びついた思い出(イメージ)の記憶(想起的記憶)*1)があります。身につくとは,いったいどのように考えたらいいのでしょうか。一般的には,誰の手も借りずに,できるようになることとすると,できるようになるためには,その前に,知識や技能をとり出して身につけるという考え方と,できるようになる過程で,意識することなく知識や技能が身についていくというような「身につくようになる」という考え方もあります。また,「学校教育法」第30条に「学力」が規定されました。その学力は,意欲などとともに,知識や技能を「活用」することの重要性として強調されました。(コンピテンス:有能感だけでなくもっと対象にかかわってみたいという動機付けが促される主体的で意欲的な行動を伴うもの)*2)。エドガー・デール*3)は,学習によって記憶される知識や技能を,その保持の長さ(定着率)に類分けしました。講義を聞くことは5%,読むことは10%,視覚化することは20%,実演することは30%,集団で討論することは50%,実施し行動に移すことは70%,他人に教える,すぐに利用することは90%の割合で記憶が保持されるのだといいます。これらから見えてくるのは,受動的な活動はすぐ忘れるが,試したり,他人に伝えたりする行動が伴う主体的な活動(=活用)が伴う場合には記憶として残るということです。4先生って活用することが身につくコツといえます。*1)中村雄二郎『共通感覚論』岩波書店2000*2)宮本美沙子(梶田叡一編)『自己認識・自己概念の教育』ミネルヴァ書房1987*3)エドガー・デール,有光成徳訳『学習指導における聴視覚的方法』政経タイムズ社出版部195043