ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

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概要

成長する先生のための指導のABC

29他人に優しく・自分に厳しく「初心不忘」という言葉があります。これは,初心というものは,めざそうとする目標もはっきりしていて情熱もあるということです。ところが人間は,易きにつくところがあり,はじめに思っていた「志」もいつしかしぼんでしまうことも少なくありません。そのうちに自分自身に対して甘くなり,「この程度で…」と打算的な考えが生まれます。それでも,人に対して,優しく接することができるのであればまだいいのですが,他人の欠点やミスだけを言及し,次に生かす手立てを伝えないままでいることもあり,これは単なる「いじわる」です。しかし,これひとでは「自分に優しく,他人に厳しい」となってしまいます。自分に甘い人は他人転嫁が常となります。自分の行動や考え方を見直そうとはせずに,他に責任を押しつけて,その場を過ごそうとします。反対に,自分に厳しい人は,相手にも同じように厳しさを求めることがありますが,その際,相手の能力や発達を見極めて,課題を吟味しアドバイスをすることも忘れません。もちろん,自分の「背中」で教える人もいます。子どもの中に,他人転嫁の傾向が見られた場合には,「ぼくにも,できそうだ」という期待感をもたせ,自己責任が果たせるような適度な抵抗感のある問題を設定し,よい結果をもたらす指導が必要です。その指導の過程で,子どもに,相手の立場を考え,気を配る「察するカ」を育てることです。察することには,想像力が関係します。どれだけイメージできるか,相手の立場で仮想し,考え判断し,行動するかです。できることを一つずつ積み上げることが,自分を厳しく律することにつながります。32