ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

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概要

成長する先生のための指導のABC

28「大人しい子ども」と「子どもらしい子ども」おとな「大人しい子ども」は,文字通り「大人のような子ども」です。いいつけを守り,先生や親から見ると手のかからない子どもかもしれません。しかし,わたしたちは「大人らしい子ども」を求めていいものでしょうか。大人のいいなりにさせることを第一に考えてしまうと,指示や説明が多くなります。子どもが自分自身で考え,判断すべきことまで奪いとってしまうことになりかねません。わたしたちは,子どもの時期を過ぎ,いつか大人になりました。どうやら,大人になると,子どものころのことは忘れてしまうようです。「子どもらしい子ども」は,子どもの時間を存分に生きる子どものことです。小説『星の王子さま』*1)の「うわばみ」は,大人になって,「うわばみ」に見えなくなっても,「うわばみ」に見えていた時代のことを忘れてはいけないと訴えています。大人のわたしたちは,子どもに戻ってみたり,考えたりすることはできません。それでも,戻れないことをわかった上で見守ることはできます。「ゆっくり大人になりなさい」という心構えが,大人には必要なのではないでしょうか。さて,「子どもらしい子ども」とは,どんな子どもを想像しますか。ほら,教室のあの子のことです。一般論や理想を考える必要はありません。どんな環境で,どんな養育を受けたら,こんな子どもらしい子どもに育つのだろうと思う子どものことです。そんな子どもが,教室にはたくさんいるはずです。見方を変えてみると,子どもらしい子どもの姿がたくさん浮かんでくるはずです。子どもの時期に子どもが経験しなくてはならないことを準備することが指導だと考えると,指導観も変わります。3指導って子どもの時代には「子ども力」を十分に発揮させることが大切です。*1)サン・テグジュベリ,内藤濯訳『星の王子さま』岩波書店195331