ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

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概要

成長する先生のための指導のABC

20「つぶやき」・「ささやき」考え悩んだり,驚きやおや?という疑問が心の底からわきあがって来たりしたときに,わたしたちは「つぶやき」という自然な行為に及びます。この「つぶやき」は自分の中に立ち上がる「もう一人の自分」(メタ認知)ともいわれます。そして,確かめたくて,まわりの人に本当かどうか,適当なことかどうかを「ささやき」聞いてみます。このように,「つぶやき」と「ささやき」は人間の自然な行為なのです。そのため,この「つぶやき」と「ささやき」をいかに授業に生かすかが大切になります。なぜなら,「形式的な発表のし方」「手を挙げてから…」などにこだわり過ぎると,本来“子どもの考え”によって進められる授業が,先生主導の形式的なものになってしまう恐れがあるからです。どれだけ子どもの「つぶやき」が聞きとれる「よい耳」をもつ先生になれるかが重要なのです。つまり,気持ちの発露と,誰かに伝えることは,根本的に違うのです。虹を見て「きれい…」とつぶやくのは,感性の領域です。その気持ちを誰かに「ほら見て,虹が出ているよ。きれいだね」というのは,伝達なのです。*1)そして,「どうして虹は見えるのかな」とつぶやくのは,「なぜ」「どうして」という認知や認識の分野に移行しているのです。まず,「感性」(共通感覚・体性感覚)で感じとる,その上で,表現や論理が生まれるのです。感性がすべての基盤になっているのです。レイチェル・カーソンは,特に子どものころの「感性」について,「知ることは,感じることの半分も重要ではない」*2)といいます。感性豊かな土壌に,知識や知恵の種子が育つのです。3指導って感じとることの大切さを先生が自覚することです。*1)吉本隆明『定本言語にとって美とはなにか』角川選書1990*2)レイチェル・カーソン,上遠恵子訳『センス・オブ・ワンダー』新潮社199623