ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

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概要

成長する先生のための指導のABC

15授業の「かじとり」の役目授業における先生には,問題を出して,子どもの自由な考えを広げ,深めさせる大切な役割があります。子どもらしい様々な考え方を出させようとする,拡散的な思考のかじとりがあります。しかし,授業のねらいから外れ,広がり過ぎて混乱し,あげく子どもたちは迷い「先生,何とかしてよ」と心の中でつぶやいている授業もあります。こんなとき,収束的な思考のかじとりが必要になります。例えば,「どんなくだものがすき?」と尋ねると,「みかん,りんご…」とどんどん広がっていく場合に働く力が拡散的な思考力です。次に,広がった発想を収束させるために,「チョコレート,みかん,アイスクリーム,バナナ,ぶどう…」を仲間分けし,どんな仲間になるかを聞きます。「くだもの」や「おかし」または,カタカナとひらがななどというように,収束的な思考力が働きます。いろいろ考えてほしい場面か,まとめる場面かによって,先生のかじとりも変わります。【授業づくり】で合わせて考えると,1授業の山場に合わせて,「対比」「対立」「きっ抗」など問題が際立ち明確になるものを教材化する,2意見が出やすい環境を整え(間違いも聞き入れる,些細なアイデアでも認めるなど),その上で,一問一答ではなく拡散的な思考を意識した発問や子どもの考えを認めほめる指導を行う,3意見がたくさん出たとき,先生は「どの意見と,どの意見が同じかな」「□□さんと似た意見はないかな?」「違う意見はありません?」など収束を意図した言葉かけを行う,4板書を効果的に利用し(関連を線で結ぶ・色チョークで強調する・似たような意見は予め予測して,同じ様な場所に書き囲むなど),様々な手段で学習のまとめを図ることです。収束場面では,ただ呆然と成行きに任せず,解決に向けた努力をすることが大切です。拡散的思考と収束的思考を使い分けてみましょう。18※恩田彰『創造性開発の研究』恒星社厚生閣1980