ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

概要

成長する先生のための指導のABC

11〈見直す〉ことの大切さテストの採点をしている際に，何人かの答案用紙の名前の横に，「正」の字を見つけました。これはテストをする数日前に，テストの間違いについて話をしたとき，「おっちょこちょいミスを克服するには，どうしたらいいか？」ということで，〈見直し〉をすることと，その〈見直し〉の証として，見直しのたびに，「正」の字を記録して，ミスを防ぐことを話したのです。そのあと，何人かの子どもが実行してくれました。「見直しの質」にはそれぞれ個人差がありますが，“見直そうとする意識”をそこに見つけることができました。この「見直そうとする意識」は，テストのときだけに有効なのではありません。どんな場面にも生きていくものと考えています。授業の場面でも，子どもたちと「ちょっと待って！」を使ってみてはどうでしょう。「本当におかしくないかな？」「このままで，本当にいいのかな？」と疑問を自分に投げかける機能をもつことを意図しています。ものごとが進むときに，自分の心に少し〈見直し〉のしくみをつくります。思いつきだけで答えを出したことに，「本当かな？」「違うかもしれないぞ！」と，一度まとまりかけた解決にふり戻しをかけることです。日常の生活でも，ものごとを鵜呑みにせず「なんかへん？」という違和感を大切にすることです。違和感は慣れが生じると見えなくなることがありますから，常に新鮮な目で見つめ直す意識をもちたいものです。「ちょっと待てよ」と立ち止まって考えてみませんか。14