ブックタイトル成長する先生のための指導のABC

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概要

成長する先生のための指導のABC

5「どうせ」という言葉が聞こえたら赤信号“自分をだめにする3D”というのがあります。それは,「でも」「だって」そして「どうせ」といった三つの頭文字のDをさします。この言葉が様々なところで聞こえるようになったら,子どもの行動や内面に注意を払う必要があります。例えば,教室で友だちと喧嘩して,その理由をたずねたとき「でも,ぼくだけじゃないもん」「だって,◎◎ちゃんがやれっていったんだもん」と自分の正当性ばかりを主張し,相手の責任を厳しく主張するときなどの「でも」「だって」です。これらの責任転嫁や他人転嫁は,いつも対象が相手に向けられていて,自己の行動を省みようとしなかったり,自分の責任から逃れようとしたりするときに出る言い訳の言葉です。このままにすると,自分自身に対する素直さや責任感が育てられないばかりか,最後には「どうせ,わたしは悪い子ですよー!」という自己否定の考えにつながり,心を固く閉ざしてしまいます。こうなったら,どんな忠告や指導にも耳を傾けません。他から学ぶということができなくなりますから,人として成長することが難しくなります。さて,「どうせ」に伴ってあらわれる言葉には,すべて人生に対する否定的な意味合いが込められています。あるいは絶望的な自己否定になってしまいます。行きつくところ,孤独感・無常感の袋小路に入り込んでいく言葉なのです。*1)この解決策は,「認める」という行為を繰り返すことです。どんなことでも,その子なりの得意なことやよいところをほめてあげることです。この繰り返しから自己存在感が芽生え,少しずつ心が開かれていくのです。他人転嫁は自己否定の入口です。8*1)板坂元『日本人の論理構造』講談社現代新書1971