ここがポイント
「ほめる」ことの責任
人はだれしも他者からほめられると嬉しいものです。まして、ほめてくれる相手が尊敬する人であったり、好きな人であったりするとなおさらでしょう。ほめられると、ほめられた人の心の中には自己肯定感や自信が生まれて、次の活動を活発化させる原動力となります。教育現場ではどうでしょうか。生徒が学習に真剣に取り組んでいればいるほど、この原動力はとても重要な働きをします。そして、生徒にとって先生からほめられるということは、とてもうれしいことであることが容易に想像できます。しかし、教師にとってその言葉にはとても重い責任があることを忘れてはいけません。教師が生徒に発する言葉の一つ一つは、単に感想を述べた言葉だけではなく、評価として大きな意味を持っているからです。評価とは「認める」という重要な要素を持ち、単なる相対的な成績の位置情報ではなく、認められるべき内容を子どもたちに伝達するという大きな意味を持ちます。いつどのようなタイミングで、どのようなことを生徒たちに指導するのかということは、一人一人の活動内容やその表情を読み取りながら、生徒の心に寄り添える観察力や洞察力が必要なのだということです。
教師としての心の姿勢
では、どうすればその観察力や洞察力が身につくのでしょうか。その一つとしては、いつも立って生徒を見下ろしてしているのはなく実際に姿勢を低くして、生徒の視点に同調してみてはいかがでしょうか。不思議なことに、生徒のありのままの姿が見えてくるはずです。姿勢が、教師としての「心の姿勢」を生み出すのです。
(シナリオ・監修、文 川合 克彦)