先輩からのアドバイス vol.46
【マンガ】新任教員のつらさ

指導や授業で、つまずきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。


ここがポイント

新任教員への期待

 教師という仕事は、確かに大変な仕事といえます。報道などではその大変な部分だけを切り取って、「教師の現場はブラック……」といったような心無い言葉で揶揄されることも少なくありません。職務内容は多忙を極め、大学の教職課程の学生も、このまま教員採用試験を受験しようか迷うことも多いようです。実際に教師になろうという人は比較的少なく、教師を目指す人は大変貴重な存在といえます。各学校の教育現場は新任の教師を待ち望んでいることでしょう。待ち望む気持ちは、難しい教員採用試験を潜り抜けてきた優秀な人材として期待も、同時に膨らませます。
 大学を3月に卒業して、その4月からは「先生」として現場を担う新任教師にかかるプレッシャーは、並大抵ではないと想像されます。教員となり何年も経験した教師と同じように即座に活躍できるということなどできなくて当たり前です。そのため新任教師を囲む先生方は、親切心からいろいろなアドバイスを投げかけます。教員の仕事は多種多様で、一つひとつ仕事をこなすことは容易ではありません。すでに抱えている業務だけでも手に負えない状態で受けるアドバイスは、ときに、仕事を増やすことにつながってしまうこともあるかもしれません。職務内容は、心のなかで「自分には到底無理な仕事」と、漠然としたひとかたまりの怖さにつながってしまうことがあります。期待が生む悲劇とならないようにしたいものです。

すべてを完璧にと考えない

 仕事をすれば、その評価をされることは避けて通れません。いい評価を勝ち取りたいと思うのはごく自然な感情といえます。上手くいかなかった点は反省し、改善して次に臨もうとします。しかし、上手くいかなかったことが重なると、自らを肯定的に見られなくなり自信は崩れていきます。ではどういった姿勢で自己肯定感を取り戻せばいいのでしょうか。
 まず考えなければならないことは、「子どもたちのために仕事をしているのだ」ということをもう一度思い起こすことです。大人の世界の評価よりも、子どもたちにとって良き学びとなっているのかということが重要です。一方的で教え込もうとする指導は適切ではありません。一人ひとりの生徒は何を感じ、何を学ぼうとしているのか、彼らの姿をイメージするのです。そのうえで生徒の気持ちを推し量りアイデアを出すことが必要です。イメージできないことをやり遂げようとしてもそれは無理です。上手くいかない時には周りの先生方が助けてくれますよ。少々甘えてしまってもいいのではないでしょうか。
 大切なことは、あなたの「良さ」を子どもたちと共有することです。大人の評価ではなく、学びのなかでの子どもたちの変化や活動、学びに向かおうとする目の輝きが最高の評価であるような気がします。

 
(シナリオ・監修、文 川合 克彦)