ここがポイント
職場環境とコミュニケーション
初任で配属になった学校で、その職場環境にうまく打ち解けられずに悶々とする太田先生の気持ちは多くの人が経験する問題なのかもしれません。初任ということに限らず、転勤で配属になった新しい職場でも同じことが言えそうです。
日々の授業をするなかで教師はいろいろな問題に直面します。大きな問題ならすぐに多くの職員が関与してくれますが、打ち解けにくさを感じている職場では些細な問題はなかなか言い出せずに、知らぬ間に大きな問題に発展してしまうことも考えられます。いろいろな思いを先輩の先生がたに気楽に相談できる雰囲気をつくるためにはどうしたらいいでしょうか。
そこで必要になってくるのがコミュニケーションですが、意識することなく気軽に話せる環境に自分の身を置くために大切なことに挨拶があります。たかが挨拶ですが、相手の「心の出入り口」をどのように開かせるのかファーストコンタクトの善し悪しは、この挨拶にかかっているといっても過言ではありません。ICT環境が整備され、情報や連絡は共有することが容易になりました。ほとんどの伝達内容は対面で行わずとも伝えることが可能です。そんな時代だからこそ挨拶の重要性が問われるのです。
心を開いた挨拶
機器を用いた伝達で共有したいのは「事実」です。もちろん大切なのは事実そのものですが、相手はあなたに、あなたは相手にどのように伝えようとしているか、お互いの心のあり様が重要と言えます。言葉の裏にある思いは日常の人間関係に大きく依存しています。日頃からの良好な人間関係の構築こそが、打ち解けにくさを払しょくする手立てと言えます。
そこで大切になるのがその日のファーストコンタクトでの挨拶なのです。ただどんな挨拶でもいいというわけにはいきません。相手からコミュニケーションを引き出せるような挨拶が大切です。みなさんはどのような場面で、どのような相手に心開いて会話しますか。それは相手との間に隔たった距離感がないときではないでしょうか。もちろん家族のようにというわけではありません。しかし、仕事仲間である同僚としての安心感があるときに、心開いたコミュニケーションが可能になるのではないでしょうか。相手に安心感を与えられるような挨拶が、心開くことのできる人間関係を生む糸口になります。
少しずつ相手があなたの挨拶を安心して受けられるためにはどうするべきなのでしょうか? 笑顔になって取り組めるといいことが起こりそうですよ。たかが挨拶、されど挨拶なのです。
(シナリオ・監修、文 川合 克彦)