ここがポイント
暮らしに息づく
私たちの生活の中で、何気なく使っている焼き物の皿や茶碗といった器たちを改めて手に取ってみてみると、形や大きさ、重さや厚み、肌合いや肌触り、色彩や発色などいろいろな特徴や工夫を発見することができます。焼き物の多くは、人々の暮らしには切っても切れない大切な道具でした。太古より焼き物は、人々の生活や文化のあるところで暮らしに息づいていたといえます。より美しく、価値を見出し、よりよいものをつくり出そうとする人の知恵は残された焼き物の作品から見て取ることができます。
焼き物の授業においては、人々の暮らしや文化から生まれたことを伝え、だからこそ今、何を学ぶべきなのかを子どもたちとともに考える必要があります。古からの技法や知恵を見てみることで発想はより広がるのではないでしょうか。実際に土に触れ、目的を見失わず、『美術資料』(秀学社 P.78~P.81)なども参考にしながら題材研究をしてみてはいかがでしょうか。
土の魅力
授業で粘土を扱うと、子どもたちはその魅力をすぐ、直観的に発見します。ひんやりとした感触や思った以上の抵抗感を感じ取り、子どもたちは粘土をこねていくに従い、手になじむ感覚をつかんでいきます。そして粘土の変形とともに心にふつふつと創造のイメージが浮き上がってくる瞬間を感じ取ります。それは子どもたちの目の輝きですぐ分かることでしょう。
騒がしかった制作開始後とは打って変わり、自分と対峙する静かな時間が訪れます。粘土はさまざまな素材の中でも触感とともに手でつくるという豊かな喜びを感じさせてくれることに長けた素材といえます。この粘土の魅力と抵抗を感じ取り、目標を見定め、何を生み、つくり出すのかをじっくりと考える時間を子どもたちと共有したいですね。
(シナリオ・監修、文 川合 克彦)